ー日常ー街の住人達【3】

ー池袋:摩天楼ー

後楽「金を貸してほしい」

凍夜「無理です」

後楽「はははっ」

凍夜「はははっ」

後楽「とりあえず10万ほどで」

凍夜「諦めない人だなぁ」

詠子「何に使うかぐらいは聞いてあげたらどうです?聞くだけ……聞くだけ」

後楽「優しそうに見えて聞く「だけ」を強調しているなぁ」

凍夜「なんに使うんです?」

後楽「未来のために投資です」

凍夜「ぶっちゃけて言うと?」

後楽「カジノでちょっと一儲け」

凍夜「……」

詠子「カジノって……ラスベガスにでも行く気ですか?」

後楽「いやいや、近場のカジノだよ。」

凍夜「もしかして……噂の裏カジノ?」

詠子「噂?」

凍夜「カジノというか賭場なんだけどね。この池袋のどこかにあるにあるらしいだよ。そういう場所が」

詠子「胡散臭いですね。」

凍夜「まったくだね……けど、そこですか?」

後楽「そこだよん」

凍夜「かるっ」

後楽「いや、でも有るべくしてある場所っぽいけどなぁ」

凍夜「何処です?」

詠子「聞きますか…」

凍夜「一応ね。」

後楽「蒼天塔の地下だよ」

凍夜「え、あそこの地下?」

後楽「そうそう。なんか上は闘技場みたいなことしてるだろ?その反対の地下では大きなカジノをやってる。」

詠子「そういうところって普通は会員制というか、選ばれた人しか入れないんじゃ?」

後楽「そこはまぁ、おじさんも色々とね。」

凍夜「つまり、そこでお金をつぎ込んでると」

後楽「大丈夫だ。今日は勝てる。……気がする」

詠子「気がするだけなら、私も宝くじが毎月当たってる気がしますよ」

凍夜「宝くじならまだ健全だけどね。」

後楽「ということで20万」

凍夜「さらっと増やしてますね。」

後楽「倍にして返す」

凍夜「うちは貸した分だけ返してくれたらいいんですけどね。」

後楽「貸してくれるのかい」

凍夜「いや、貸しませんけど」

詠子「賢明です」

後楽「そんなぁ……今月はもう嬢ちゃんに小遣いもらった後なんだよなぁ」

凍夜「小遣い制なんですか」

後楽「そうそう月500円。何かしたらその都度プラスでもらってる」

詠子「嬢ちゃんて……」

後楽「真桜の嬢ちゃん」

詠子「……情けなくないですか?」

後楽「全然」

凍夜「ある意味、たくましいなぁ」

後楽「へへへっ」

凍夜「褒めてはないですから」
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