ｰ池袋:西口公園ｰ

ゆえ「はぐはぐ……」

黒奈「一心不乱ににくまん齧ってる」

ゆうな「可愛い」

白奈「言うと思った」

ゆうな「えへへ」

黒奈「もう少し別に言うことは?」

ゆうな「プリティー」

黒奈「同じだろ」

ゆえ「はぐはぐ、あっ……」

ゆうな「どうかした?」

ゆえ「おーさま……」

黒奈「王様?」

崇「……」

紅「……」

ゆうな「あ、ホントだ崇さんだ」

白奈「歩いてるだけで物々しい」

ゆうな「王様だしね。いきなり暴漢が襲い掛かってこないとも限らない」

黒奈「池袋っていつからそんな街になった?」

ゆうな「前からだよ?」

ゆえ「ここはおにのなくまち……」

黒奈「いつからカサンドラになった」

崇「ん?」

紅「どうかしました?」

崇「悠の娘だ」

紅「あ、ホントだ」

ゆうな「ちーす」

ゆえ「はぐはぐ……」

紅「ハムスターみたいな食い方してんな」

ゆえ「にくまんさいこー……」

崇「そうか。良かったな。」

ゆえ「あい……」

ゆうな「ところで紅さん」

紅「なんだ?」

ゆうな「手にしてるバットから何か滴ってますよ」

黒奈「赤い液体……」

紅「ああ、大丈夫だ。俺の血じゃないし」

白奈「そういう問題なんだ」

崇「ひねくれたカーブを打っただけ……だったか?」

紅「そうそう、もーひねくれたカーブだったんすよ」

ゆうな「うちのお父さんも相当ひねくれたカーブ」

紅「あれはひねくれ過ぎて魔球だ。カーブに見せたストレートで打ったらこっちのバットが弾かれる」

崇「くくっ。ひねくれた魔球か」

紅「それでお前らは何してんの?」

ゆうな「ダブルデート」

ゆえ「えへへ」

黒奈「即答でデーというな」

紅「……時代っすかねぇ」

崇「そういう場合もあるだろ。池袋じゃ珍しくない」

黒奈「普通に受け入れられた」

崇「ま、楽しくやれ。」

ゆうな「うーっす」

ゆえ「おーっす……」

紅「変なのも多いから……まぁ、平気か」

ゆうな「平気平気。変なの来たらゆえのパンチが火を噴くよ」

ゆえ「ふんっふんっ……」
ぶぉんぶぉん!

紅「いいねぇ……いつか喧嘩したいもんだ」

崇「やめとけ。悠がキレるだけだ」

紅「それはそれで面白いっすけどね。」

崇「面白いが……面倒だ」

紅「分かってますよ。俺だって女殴る趣味はないですし、普通にゆえの子猫ちゃんとはやりにくい」

黒奈「カサンドラ待ったなしだな」

白奈「池袋怖っ」