ー日常ー街の住人達【3】

ー小鳥遊邸:庭ー

悠「ふー、こんなもんかな。」

楓子「庭が綺麗になりましたねやよ。」

悠「デコがちょくちょく落ち葉を片付けてくれてたりしてたしな。早かった」

楓子「いえいえ、このくらいのこと当然ですやよ」

後楽「いやー、偉い。」

悠「……デコ、狸鍋でも食うか?」

楓子「臭いが少々気になりますやよ」

悠「唐辛子たっっぷりで煮込めば臭いも気にならないだろう」

後楽「まぁまぁ、落ち着こうじゃないか」

悠「おれはいたって冷静だ。冷静に狸鍋を作る。皮を剥いで……」

後楽「嬢ちゃん、助けてくれ」

楓子「介錯はお任せくださいやよ」

後楽「そういう「助け」じゃなくて!」

寿「失礼」

悠「誰だ。今取り込み中なんだ……って」

寿「おや、そうでしたか。」

悠「近藤さん?!」

楓子「お久しぶりですやよ」

寿「はい、こんにちは。」

悠「どしたんだ……。こんなところに来て」

寿「いえ、実は新鮮な秋刀魚をいただきましてな。私一人では食べきれないのでお裾分けです」

悠「それはわざわざ……どうも、ありがとう」

寿「いえ、坊ちゃんの元気そうな顔が見れて、この近藤、大満足でございます」

悠「はは…」

寿「では、こちらを」
スッ
楓子「はいやよ。」

寿「それでは失礼します」

悠「もう帰るのか?お茶ぐらい淹れるぞ」

寿「ありがたい申し出ですが、まだ仕事も残っていますので。」

悠「そうか?なんか、悪いな」

寿「なにを仰いますやら。坊ちゃんのためならこの寿、身を粉にする所存」

悠「いや、そこまではしなくていいし。」

楓子「ご立派ですやよ」

寿「いやいや、楓子さん。くれぐれも坊ちゃんの安全の配慮は頼みますぞ。」

楓子「はっ、命に変えましてもやよ」

悠「変えんでいい、変えんでいい…」

寿「それでは、本当に失礼します」

悠「……」

後楽「立派なおじ様って感じだな」

悠「一瞬にして姿を消したことだけは褒めてやる。」

後楽「じゃあ、狸鍋じゃなくて秋刀魚でいっぱいやりたいなぁ」

悠「……デコ」

楓子「はいやよ。」

悠「倉庫から七輪と炭取ってきてくれ」

楓子「分かりましたやよ」

後楽「お、ここで焼いちゃう?いいねぇ、風流だねぇ」

悠「ただ見てるだけじゃなくて大根でも抜いて摩り下ろせ」

後楽「はいはい、そのくらいはやるぜー。でも、大根て植えてたかい、兄ちゃん?」

悠「空家の方の畑だ」

後楽「あああ、あっちか」

窈「空家じゃないよ!!」
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