ー日常ー街の住人達【3】

ー小鳥遊邸:庭ー

楓子「ふうー。」

後楽「お?嬢ちゃん珍しいなスーツじゃないなんて」

楓子「ああ、これは後楽さん。今起きたんですかやよ?」

後楽「ああ、そうだよ。」

楓子「相変わらずのダメ人間っぷりですやよ」

後楽「あははは。そういわれたら反論の言葉もない。それで嬢ちゃんは何してるんだ?」

楓子「台風の余波で庭が少々荒れているので掃除をしている最中ですやよ」

後楽「偉いなぁ」

楓子「暇なら手伝ってくれませんかやよ」

後楽「…………イイヨー」

楓子「えらく間があった気がするやよ」

後楽「おじさん基本的に働きたくないからね。」

楓子「……」
チャキ

後楽「でも、このまま逃げようとしたら斬られそうだから手伝うよ」

楓子「そうしてくださいやよ。」

後楽「でもよ、それほど散らかってなくね?」

楓子「基本的には師匠がちゃんと掃除しているので綺麗ですが落ち葉や飛んできた段ボールを集めてくださいやよ」

後楽「はいはい、じゃあ、おじさんビニール袋もってついていくよ」

楓子「言いたいことはありますが……もうそれでいいですやよ。でも、せめてちりとりぐらいは持ってくださいやよ」

後楽「へいへい」

楓子「こっち側からやっていきますやよ」

後楽「へいへい」

楓子「……」
ザザッ

後楽「しっかし、台風の後は暑いねぇ。」

楓子「確かに晴れてるのと雨の湿気でムシムシしてるやよ」

後楽「おじさんは女の子とムシムシしたい」

楓子「そうですかやよ」

後楽「クールだねぇ」

窈「あれ?掃除?」

楓子「おや、お隣の幽霊さん。こんにはやよ」

窈「生きてるよ?!」

後楽「よー、兄さん。金貸してくれ」

窈「会ってひと言めがそれ?!」

楓子「冗談はさておいて、お休みですかやよ?」

窈「たまには有給も使わないとね」

後楽「なるほど、じゃあ遊びに行こうぜ。兄さんの驕りで」

窈「アナタと遊んでたら破産します」

後楽「おじさんなんて借金のだらけだぜ?」

窈「……」

楓子「絵にかいたクズですやよ」

後楽「あっははははっ!」

窈「いや、笑いごとじゃないでしょう。」

後楽「まぁ、兄さんも借金あるだろう」

窈「え……?」

楓子「分かるんですかやよ?」

後楽「おじさん、お金関係には鼻が効くんだよ。」

窈「それが分かっててたかるってなんですか?」

後楽「おじさん、他人のお金はいくらでも頼りにするよ?」

窈「……」

楓子「自分のお金は?」

後楽「湯水のごとく使うよ」

窈「ああ、全力でダメだ。このひと……」
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