ｰ小鳥遊邸:大広間ｰ

揺光【そういえば今日は娘どもはおらんのかえ?】

悠「ゆうとプール行ってるよ」

天魔「しゃくしゃく、ぷーるとはなんぞ?」

大天狗「せめて口の回り拭いてから喋ってください」

悠「プールっていうのは水遊びができる施設……かな」

天魔「川か?」

悠「そうじゃなくて……」

駒狸「こういう場所ですよ。パンフレットですけど、どうぞ」

天魔「お?ほー!ほほー!!」

悠「わー、目がキラキラしてる」

揺光【妾と違って山に籠っとるからの。珍しいんじゃろ】

大天狗「天魔さまはちょろちょろと下山してますけどね」

悠「何しに?」

大天狗「大量の菓子を買に行っている」

悠「子供じゃん」

天魔「おい、次に童扱いしたら吹き飛ばすぞ」

悠「なにおれすっげー嫌われてる?」

揺光【んーふふ……どうじゃろうなぁ。】

悠「なんだその顔…」

天魔「おい、小僧」

悠「小鳥遊悠」

天魔「小僧」

悠「……」

天魔「むきー!!」

揺光【いやー、楽しいのぉ】

大天狗「私は胃が痛いです」

駒狸「お茶をどうぞ」

大天狗「ああ、すまん。」

揺光【ときに悠】

悠「なんだ」

揺光【天魔は甘いものに目がなくてな】

悠「なんかわかる」

天魔「甘味は好きだ」

揺光【適当に何か食わせてやってくれぬか?】

悠「いま飯食ったばかりだけど」

天魔「甘いものは別腹」

大天狗「別腹も何も天魔さまは大食い大飲みです」

天魔「大天狗!」

駒狸「悠くんのお菓子をご馳走してあげればいいんじゃないですか?」

悠「えー……」

天魔「なに、菓子が作れるのか?」

悠「いや…」

駒狸「悠君は茶屋をやってるほど和菓子作りが得意なんですよ」

大天狗「ほう、誠か?」

悠「まぁ、事実です」

揺光【洋菓子もつくれるんじゃろ?】

悠「簡単なものなら」

天魔「作って参れ!」

悠「何さまだ」

天魔「天魔様じゃ!」

悠「……」

大天狗「すまん」

揺光【悠】

悠「あ?」

揺光【作ってやってくれ。】

悠「えぇ、マジで?」

揺光【ひとつ頼む。食ったら満足して帰るはずじゃ】

天魔「帰るとは言ってない」

大天狗「いや、帰りますよ。」

悠「……わかったよ。簡単なのしか作らないからな」

天魔「うむ、良きにはからえ」

悠「……」

大天狗「私から謝罪する」

悠「いや、いいけどな。」