ー日常ー街の住人達【3】

ーとある山中ー

揺光【ふー、暑い暑い。いくら木陰の中とはいえ鬱蒼としていては蒸暑くて敵わんわ。】

白狼天狗「待てそこな妖!」

揺光【うん?】

鴉天狗「上手く人間に化けているようだが、ここよりは大天狗様の住まう土地。勝手に立ち入らないでもらおう」

揺光【立ち去っても善いが妾は招待されてきたんじゃ。勝手に帰してしまって善いのかえ?】

白狼天狗「招待……?」

鴉天狗「そんな事は大天狗様より聞いておらん。」

揺光【大天狗に呼ばれたのではない。妾は…】

白狼天狗「貴様!大天狗様を呼び捨てにするとは何事だ!」

鴉天狗「タダでは済まさんぞ!」

揺光【やれやれ、弱ったのぉ…。】

大天狗「その辺りにしておけい」

白狼天狗「!!」
鴉天狗「!!」

揺光【おお、久しいの】

大天狗「お久しぶりです。揺光さま。眷属の者どもが失礼しました。」

揺光【いやいや、構わんよ。今の様子じゃとまっっっったく説明しておらんのじゃろ奴は】

大天狗「……私も今しがた聞かされました」

揺光【こんこん♪苦労するじゃろああいう上司を持つと】

大天狗「発言は差し控えさせてもらいます。どうぞ、お進みください天狗道は開いておきましたので。……揺光様には必要ないと思いますが」

揺光【否々。余計な力を使わんで進めるのなら善いことじゃ。】

大天狗「私もすぐに行きますので」

揺光【こんこん♪】

鴉天狗「……あの、大天狗様、あの妖?」

大天狗「お前ら、運がいいぞ」

白狼天狗「はい?」

大天狗「あの方は九尾の狐だ。」

鴉天狗「九尾の!」
白狼天狗「狐!!」

大天狗「ああ、それももう妖怪という括りの次元ではないお方だぞ。もし今機嫌を損ねて居たらお前らは炭どころか魂ごと消されていただろうな。」

鴉天狗「…………」
白狼天狗「…………」

大天狗「さて、私は行ってくるが努々調子に乗らぬようにな」
バサッ!


~~


揺光【んっ、ようやく抜けたか。天魔、おおい、天魔!】

天魔天狗「とりゃー!」
ひゅゅゅゅゅゅ……バッ!ビシッ!

揺光【……】

天魔天狗「やあ、よーこーよく来たね!」

揺光【相変わらず阿呆じゃな。】

天魔天狗「阿呆とはなんだ!阿呆とは!ワシの何処が阿呆だと申すか!」

揺光【阿呆は高い所に登りたがる。そして、矢鱈派手に登場する。】

天魔天狗「格好いいであろう!」

揺光【餓鬼じゃな。】

天魔天狗「餓鬼というな!餓鬼と!怒るぞ!竜巻起こして吹き飛ばすぞ!」

大天狗「天魔さま、やめてください。本気でやりかねないのですから」

天魔天狗「やるなら本気でやるに決まってるだろう」

揺光【まぁ、妾は何をされても平気じゃがな】
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