ー日常ー街の住人達【3】

ー小鳥遊邸:庭ー

悠「ふんふん♪」

後楽「兄ちゃん、兄ちゃん」

悠「ふんふーん♪」

後楽「…………」

紅「おーい、悠」

悠「お、紅どうした?」

紅「いや、ゆうなの子猫ちゃんたちとリッカの店から……かくかくしかじかで」

悠「まるまるうまうまか。なるほど」

後楽「今ので通じたのか?」

悠「ふんふーん♪」

後楽「……」

紅「おっちゃん。完全に無視されてんな」

後楽「おじさんもさぁ。無視とか慣れてるけどこうやって簀巻きにされて、こうも無視されるとさすがに心に来るなぁ。」

紅「ふーん」

後楽「どうだい、兄さん。ちょっと助けてくれないか?」

紅「アンタを助けても俺にメリット無いじゃん」

後楽「おじさんに貸しが作れる」

紅「アンタ貸し作っても返さないじゃん。借金返したことあるか?」

後楽「ぐうぅ、ぐうぅぅ……」

紅「狸寝入りする余裕があるなら問題ないな」

後楽「そういわず助けてくれよ」

紅「アンタ、ホント都合いいように生きてるな」

後楽「長生きする秘訣だよ」

悠「ふんっ!」
ゲシッ!
後楽「ごふっ!!」

紅「……」

悠「さーて、あとは少し穴掘らないとな。スコップスコップ」

紅「……だいぶ頭に来てるなあれ。」

後楽「今回はいつにも増してな……。」

紅「反省した方がいいぞ」

後楽「難しいなぁ」

紅「まぁ、俺はアンタが磔にされようが埋められようがいいんだけど」

後楽「ここ一番西日がきついんだよなぁ。」

紅「慣れてるなら平気だろ」

後楽「えー……」

窈「……あのさ」

紅「ん?」

後楽「おう。兄さん」

窈「なにしてるの……うちの庭で」

紅「……ここアンタの庭なのか?」

窈「どう見てもうちの庭でしょ!!垣根が撤去されてるけど!!」

後楽「何がすごいって、ここの垣根は兄ちゃんがコツコツひとりで取り除いていったことだよな」

紅「マジか。至って綺麗に撤去されてる」

後楽「兄ちゃんはアレで色んなことできるからな」

窈「できたら俺に許可を取ってして欲しかった…」

紅「ないだろ」

後楽「だよな。兄さんの家を空家認定してるし」

窈「めっちゃ住んでるよ!!」

紅「でも、実害はないからよくね?」

窈「庭先におっさんを磔にされてて実害がないっていえる?しかも、この人、俺に助け求めてくるし」

後楽「だって、兄ちゃんは絶対に助けてくれないんだもん。」

紅「……どうやって、逃げてるんだ?」

後楽「駒狸嬢ちゃんが助けてくれるのを待つ。あの娘はマジ天使だ。」

紅「なるほど、駒狸の狸ちゃんが助けるから悠もその時点で許してるんだな」

窈「悪循環だね…」
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