ー日常ー街の住人達【2】

ー池袋:摩天楼ー

凍夜「春だねぇ」

詠子「春ですね。」

凍夜「お花見とかしたいよね。」

詠子「お花見ですか……。」

凍夜「まぁ、このオフィスでもヨミちゃんて言う華は見えるんだけどもね。」

詠子「ここら辺だとどの辺りが桜が見ものでしょうかね。」

凍夜「あれ、スルー?」

詠子「……私は優しさでスルーしましたが、今のを深く掘り広げて会話しますか?」

凍夜「いや、スルーしてどうぞ」

詠子「でも、また言うんですよね」

凍夜「もちろん。ドンドンいっていくよ」

詠子「そういう精神がタフなところは尊敬します」

凍夜「どうも。それでお花見の話しなんだけど」

詠子「はい。」

凍夜「行く?」

詠子「行きたいですね。友達と」

凍夜「あれ、俺とは?」

詠子「……ちょっと考えときます」

凍夜「即答はできない系なんだね」

詠子「すいません。私と社長がお花見に行くということは……仕事をする人がいなくなるわけですから」

凍夜「ヨミちゃんて高校生だよね?」

詠子「今更なんですか」

凍夜「いや、真面目っていうか責任感が強いっていうか……」

詠子「フツーですよ。」

凍夜「そうかなぁ。」

詠子「というより、社長が不真面目なんです」

凍夜「いやいや、ほら、俺がいつもちゃんとしてたらヨミちゃんも仕事やりにくいでしょ?」

詠子「すいません。仰っている意味がちょっと……」

凍夜「えーと……あっ、そうだ。よかったらコレ食べない?」

詠子「ポテトチップス?」

凍夜「南高梅の梅酢エキスパウダー使用の紀州の梅味。あ、すっぱいの平気だよね?」

詠子「大丈夫です。いただきます」

凍夜「どうぞどうぞ」

詠子「ぱりぱり……あの」

凍夜「ん?」

詠子「このお菓子で社長の謎発言を誤魔化されたことにしたらいいんですよね?」

凍夜「そのとおりだけど、できれば口に出さずにそのまま流しといてほしかったかな」

詠子「では、別の話題を」

凍夜「うんうん」

詠子「社長ってコンビニとかよくいってこうやって新商品のお菓子とかよく買ってきてますけどあまり自分では消費しませんよね。食べさせてもらってる私が言うのもなんですけど」

凍夜「正直言うとこういうのって一口、二口食べたいんだけど全部食べきるのは辛いんだよね。特に甘い系は」

詠子「子供ですか」

凍夜「あはは。だけど、逆に俺も気になってたんだよね。」

詠子「何がですか?」

凍夜「ヨミちゃん。太らないよね。」

詠子「セクハラですか?」

凍夜「違うよ。なんていうか、今いった通り結構ヨミちゃんに食べてもらってるでしょ。なのに体型とか崩れた感じしないし」

詠子「まぁ、毎日結構歩いてますからね。」

凍夜「へぇ、ウォーキング?」

詠子「というか、自宅から学校行ったり学校からここに来たり。ここから自宅まで帰ったりですよ。」

凍夜「……え?」

詠子「え?」

凍夜「えーと、電車とかバスあるよね?」

詠子「よっぽどじゃないと使いませんね。基本的に歩きます。急いでるときは走ります。」

凍夜「昔から?」

詠子「昔からです。」

凍夜「ごめん、ヨミちゃん。ちょっと生足とか見せてくれない?どうなってるの?」

詠子「完全なセクハラですね。」

凍夜「いやいや……・」
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