ー日常ー街の住人達【2】

ー池袋:宗方フルーツ前ー

紅「ふんふっん♪」
カラカラ…

六花「お、そこのお兄さーん。リンゴ買わないリンゴー!」

紅「お、ちょりーす。」

六花「りょりすー。」

鈴猫「……」

紅「お、花王も。どした何見てる?」

鈴猫「いや、すっごい何か赤いのがバットについてない?」

紅「大丈夫だ。俺のじゃねーし」

鈴猫「大丈夫じゃない…」

紅「大丈夫じゃないのはボコボコにしてやった奴らだよ」

鈴猫「それの心配してるんだけど?!」

六花「息してたんですよねー?」

紅「してた……はず」

鈴猫「はず?!はずっていった!?」

六花「じゃあオフコース!」

紅「オフコース!」

鈴猫「えぇ……」

紅「まぁでも、血糊でべっとりだから背中に終えないって問題は有るんだよな」

六花「警察に見られたら職質補導コース。あははは」

鈴猫「笑い事じゃないし?!」

六花「洗いますー?」

紅「おう。頼むわ。」

六花「じゃあ、水だすんでそっちのホース使っちゃってー」

紅「オーライ」
ジャバジャバ

鈴猫「見た目が赤いバットだったからうっすらとしか分からなかったけど、かなりべっとり血がついてたのね…」

紅「何か三人から六人、九人と増えていったんだよ。」

鈴猫「どういう状況?」

紅「コンビニから出た先でバイクに乗ったのがエンジンかけてがーがーうるさかったから邪魔だって教えてやったら絡まれた」

六花「そしたら?」

紅「最初三人が俺を取り囲んできたからひとりひとりをバットで撫でてやったんだ。なんなんだろうなアレ。新種の虫かな何か?暖かくなると湧いて出る」

六花「虫っすね」

鈴猫「コンビニの人……よく通報しなかったもんだ」

紅「S・ウルフの奴がいたからな。まぁ、店の前で暴れたのはちょっとだけ反省だ。拭くものあるか?」

六花「雑巾でいいっすか?」

紅「便所のでなかったら」

六花「ほいっ」
ポイッ
パシッ
紅「サンキュ」

鈴猫「大事にしてるのにバット本来の使い方してないよね。」

紅「これがコイツのありのままの姿だ」

六花「現代版妖刀。今宵のバットは血に飢えておるわ」

鈴猫「本当に血を吸ってそう…」

紅「そんなオカルティックなバットじゃねーよ。まぁ、何製なのかは未だに不明だけど」

鈴猫「それはそれで怖いよ…」

紅「よし、綺麗になった。」

六花「それで何買ってくれますかー?」

紅「何が今は美味い?」

六花「メロンかなー」

紅「お勧めは?」

六花「メロンかなー」

紅「安いのは?」

六花「メロンかなー」

紅「メロン以外は?」

六花「イチゴかな」

紅「じゃあ、カットフールツ買ってやる。」

六花「チィッ!」

鈴猫「商魂たくましいなぁ…」

六花「池袋だとこれぐらいじゃないとやってられませんてー」

鈴猫「いや、私も池袋で商売してるんだけど…」
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