ー日常ー街の住人達【2】

ー池袋:魔天楼ー

詠子「こんにちは」

凍夜「やぁ、ヨミちゃん」

詠子「起きてるなんて珍しいですね。」

凍夜「そんないつも人が昼寝してるみたいに」

詠子「少なくとも仕事はしてませんよね。」

凍夜「……あはっ」

詠子「……にこっ」

凍夜「そんな慰めいっぱいの笑顔は悲しいなぁ」

詠子「どんな顔すればいいか分からなかったので」

凍夜「まぁ、そんなことよりはいコレどうぞ」

ふぁさ
詠子「なんですか?このバラの花束」

凍夜「ホワイトデー。赤いバラだけどホワイトデー」

詠子「へー、ちゃんとお返ししてくれるんですね。」

凍夜「そりゃするよー。」

詠子「ありがとうございます。見直しました」

凍夜「いやいやー……っていうか、見直されるほど俺の株って下がってたの?」

詠子「そこそこには」

凍夜「わーぉ…」

詠子「けど、花束をもらうのは初めてです」

凍夜「俺が初めての人か」

詠子「今のセクハラ発言で見直した分の株が帳消しになりました。」

凍夜「ちょっとした冗談なのに?!」

詠子「今の世の中、ちょっとした冗談で訴えられますから気をつけてくださいね」

凍夜「アッハイ……。」

詠子「花瓶ありましたよね。」

凍夜「あれ、ここに飾るの?」

詠子「花がある職場もいいじゃないですか。いけませんか?」

凍夜「別にいいけど、華だったらヨミちゃんがいるじゃない」

詠子「キャバクラでそういう風に口説いているんですか?」

凍夜「んー、どうかな。口説くっていうより本音だからね。」

詠子「不思議ですね。」

凍夜「なにが?」

詠子「もう少し照れたりキュンときたりしそうなのに……あまり動じてない自分にです」

凍夜「ヨミちゃんクールだからね。そういうところも素敵だけど」

詠子「今日は随分と持ち上げますね。ホワイトデーのお返しだからですか?」

凍夜「えー、いつも俺は感謝をこめてヨミちゃんを褒めてるつもりなんだけどなぁ」

詠子「そうですか。ありがとうございます。」

凍夜「あはは……タンパク。」

詠子「いえ、喜んでますよ。」

凍夜「そっか。ならいいね!」

詠子「はい。じゃあ、仕事しましょう」

凍夜「うん、それもいいけどさ。ホワイトデーって三倍返しっていうよね。」

詠子「いいますね。私は別に要求しませんけど」

凍夜「まぁまぁ、そういわず。せっかくだし仕事はおいといて食事にでも行かない?」

詠子「仕事を終えてからならいいですよ」

凍夜「……ヨミちゃん真面目だよね」

詠子「フツーです。社長が不真面目すぎてるんですよ」

凍夜「そうかなぁ」

詠子「ちなみに天ぷらが食べたいです。それとお寿司」

凍夜「天ぷらと寿司かなかなかのチョイスだね。やっぱりお寿司には日本酒で…」

詠子「はい、お仕事頑張りましょうね。」

凍夜「はーい……。ヨミちゃんはいい母親になるよきっと」
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