ｰ南拠点:内部ｰ

雷太郎「よっ。」
ゴッ
忍A「ぎゃっ!」

風太郎「はっ。」
ゴッ
忍B「ぐぁっ!」

雲山「なんだ?ずいぶんと脆いな」

灯「忍たちが脆いというより、雷くんと風くんが強いのかな。」
パチン!

雲山「なんにしても、これだと私たちが出る幕なく済みそうだ」

灯「だといいんですけどね。」
パチン!

雲山「……さっきから何をしてる?」

灯「一応、起きても動けないように左手の親指と右脚の親指を繋いで拘束しておいてるんです」

雲山「えげつないことを…」

灯「念のためですよ。」

雷太郎「オラァ!」
風太郎「どけぇ!」

灯「いやぁ、彼らいいね。忍にならないかな?」

雲山「説得してみたらどうだ?仮にも鬼の門下生だけどな」

灯「んー……結束は固そうだね」

雲山「それは猿渡殿の忍も同じだろう」

灯「この状況だと、そうだよとはいえないよ。少なく見積もっても20人以上に裏切られているんだからね……。」

雲山「……猿渡殿は弟子持ちの中ではいちばんの大所帯だ。そういう輩が現れることもある。道玄殿もまさか息子に牙を向かれるとは思っていなかったさ。」

灯「そう…ですね。」

雲山「灯…」

灯「大丈夫です。起っちゃったものは仕方がない。私は、いや、僕は猿渡の嫡男として風魔を捕えます。」

雲山「立派だな」

灯「泣きたくなった時は胸を貸してくださいね。」

雲山「……灯にそういうことをされると妙な気分になりそうだから正直遠慮したい。」

灯「ふふっ、僕は男ですよ?」

雲山「よく知ってるよ…。」

佐助「灯さん」

くのいち「灯さま」

灯「おや、二人とも追いつきましたか。」

佐助「はい、外にいた奴らは全員手の親指と足の親指縛って転がしといたでござんす」

雲山「……そのヤリ口がデフォなのか?忍びは」

くのいち「こっちの方も問題ないみたいですね」

灯「はい。雷君と風君が優秀で頑張ってくれています。」

雲山「そういっている間に奥までついたな」

灯「ですね。この部屋が最奥……。雷君風君、止まってください」

雷太郎「このまま」

風太郎「のりこま」

「「ないのか?」」

灯「相手は風魔ですからね。ここは佐助とくのいちに先陣を切って貰います。罠を突破し、そのあとを私たちが続きます。佐助、くのいち頼みますよ」

佐助「任せてくだせぇ」

くのいち「この身に代えても突破しますよ」

灯「すいません……。では、スリーカウントで三、二、一!行きます!」

佐助「風魔!!」

くのいち「覚悟!!」

ドッ!ぶわっ!!

雷太郎「煙!」

風太郎「ガス?!」

雲山「ぬぅぅぅ……はぁぁぁぁ!」
ブォン!

雷太郎「うぉっ?!」

風太郎「拳圧で吹き飛ばすとか……」

灯「佐助、くのいち!無事ですか!」

佐助「ごほっ……はい、大丈夫でござんす。」

くのいち「けほっ……煙もただの煙幕だった見たいっすね。けど、そんなことより、これ見てくださいよ」

風魔(?)『……』

雷太郎「これはもしかして」

風太郎「人形……だよね?」

雲山「謀られたのか?」

ぴりりり!
灯「失礼。はい、もしもし?あ、お父さん……え?はい、はい。分かりました。」

雲山「どうした?」

灯「どうやら、私たちはハメられたみたいです。風魔はとっくにここから離れていたようです。」

佐助「そんな……」

くのいち「一体いつの間にどうやって……」

灯「風魔に手引きした者をお父さんが捕えたそうです。風魔は一足違い……」

雲山「それで風魔はどこにいった?」

灯「……大江戸学園。狙いはおそらく小鳥遊悠」

雷太郎「やれやれ」

風太郎「アイツは」

「「本当にめんどくさいのを引きつける!!」」