ー日常ー街の住人達【2】

ー忍びの里:会議室ー

灯「それじゃあ、くのいち。報告を」

くのいち「はいな!えーと、各拠点のリーダーの報告は各忍隊から数名ずつ所在不明者がいました。多分、そのひと達は風魔さんに引き抜かれちゃったんじゃない買かって感じっすね」

佐助「風魔の旦那に人望があったとは感え難いでござんすが……」

灯「人が動くのは人徳だけではないでしょ。物やお金でも動くよ。」

雲山「つまり、総合猿渡忍連合から風魔一派が抜けたってことか……」

灯「そうなるね。だけど、それでもそれだけの人数が動いてたら完全に人目を避けてはこの山からは降りれない。この山に潜んでいるのは明白だね。」

雷太郎「だけど小さな山じゃないよな」

風太郎「虱潰しに探すってわけにはいかない」

灯「だね。それに風魔は腕は確かだからヘタに山にもぐったところを突くのは危険だ」

佐助「せめて風魔の旦那の場所さえ分かればいいんでござんすが…」

くのいち「あのぉ」

灯「あ、報告の続きがまだあった?」

くのいち「つづきといいますかぁ。風魔さんなんですけどォ。居場所は分かっちゃってるんですよね。」

雷太郎「は?」

風太郎「え?」

灯「どういうこと?」

くのいち「それがー、山の南側の陣地がありますよね。」

灯「崖に面した場所だね。地図でいうと此処」

灯はテーブルに広げてある地図を指でさした。

雲山「随分と危うい場所にあるんだな」

灯「土砂が崩れる前は崖じゃなかったんだけどね。土砂崩れでこの拠点の後ろ側がごっそり無くなっちゃったんだ」

佐助「まぁ、背後から侵入されないってアドバンテージだと考えたらいい感じなんでござんすけどね。」

雷太郎「滅茶苦茶なポジティブだなソレ」

風太郎「他の拠点もここと同じようにひとが住んでる?」

灯「一応、交代制で何人かは各拠点に在住しています。基本はみんなここで住んでますけどね。」

くのいち「どうやら風魔さんはここに立て籠ってるっぽいんですよね」

佐助「なんでわかるんでござんすか?」

くのいち「それが散策させてた忍たちが風魔さんを見たっていってるんすよ。それだけじゃなくて、南陣地周辺で抜けた忍たちが迎撃体勢でうろうろしていたりって報告も……」

灯「妙だよね。」

雲山「妙だな」

雷太郎「どう考えても」

風太郎「罠っぽいな」

佐助「南拠点に籠っちまったら逃げ場なんてないでござんすからね。籠るにしても逃げ場を用意できてかつ食料なんかもしっかりろ揃ってる此処を狙わないっていうのは……ねえ?」

雲山「南拠点は本当に逃げ場はないのか?」

灯「ないない。あそこは封鎖予定になってるぐらいだし。あ、他の拠点に襲撃とかは?」

くのいち「警戒してますけどまったくその様子はないっぽいです。爆弾とかそういう系のものも仕掛けられてませんでしたし」

灯「そうなると……ますます妖しいね」

雲山「わざわざ裏切って、しかも他に騒ぎが広がるのを分かっていて引き抜きまでしているのに逃げ場のない場所に籠城……。罠を張ってそっているのか……それとも」

灯「それとも?」

雲山「なにかの時間稼ぎをしているんじゃないだろうか……」

雷太郎「時間…」
風太郎「稼ぎ…」

雲山「いや、まったく確証などはないんだがな。」
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