ー日常ー街の住人達【2】

ー忍びの里:会議室ー

灯「さっ、こちらにどうぞ。会議室という名の和室です」

雷太郎「和室なのか」

風太郎「和室なんだ」

佐助「あっしはお茶の準備をしてきますね」

灯「毒は入れないようにね」

佐助「分かってござんすよ」

雷太郎「毒?」

灯「忍は食べ物に少量の毒を入れて身体をならしていく修行があるんですよ」

風太郎「それを実行している、と?」

灯「私はしてないですけどね。昔は身体が弱くて…」

雲山「今でも儚げに見える一面があるしな」

灯「そうかなぁ。立派な男子になったと思うのに」

雷太郎「立派な男子…?」

風太郎「立派な男子…?」

灯「なに、どうかした?」

雷太郎「あー…」

風太郎「えー…」

雲山「ボソッ(結構怖いから返事には注意して)」

雷太郎「なんでも」

風太郎「ないです」

灯「そう?雲山くんはどう?私も相当逞しくなったでしょ?」

雲山「飯食ってるのか心配になってくるぐらい細かった頃よりは大分マシになったと思います」

灯「でしょー。私はいつも雲山さんに憧れてましたけどね。逞しくて」

雲山「……」

灯「ただ見た目と違って泣き虫でしたけどね」

雷太郎「雲山さんが?」

風太郎「泣き虫?」

雲山「昔のことはいいじゃないか」

灯「神姫ちゃんによく泣かされて…」

雲山「灯君!」
ドンッ!

灯「なぁに?」

雲山「こほん……こんなのんびりしてる場合なのか?」

灯「もちろん、状況は切羽詰まっているよ。だけどこういう時こそ焦ったらダメでしょう」

佐助「お茶入りましたですぜい。」

灯「ありがとう。みなさんもどうぞ」

雷太郎「……」

風太郎「……」

佐助「ちゃんと毒は抜いてきてるので安心ござぁーい。」

雲山「いただきます。ズズッ」

佐助「よっ、大将。さすがは男気に溢れてる。」

灯「男らしいって素敵だよね。」

佐助「あっしも男らしいですよ。灯さん」

灯「そろそろ、連絡係が来るはずなんだけどなぁ」

佐助「……」

雷太郎「不憫だな」

風太郎「哀れだな」

佐助「そこ、五月蠅いでござんすよ」

タタタッ、ガラッ!
「ただいま帰りましたー!」

灯「お帰りなさい。くのいちさん」

くのいち「にゃはっ。灯さん、しっかりとお仕事してきましたょん!」

風太郎「くのいち?」

雷太郎「あだ名か?」

灯「九野一(くのはじめ)さんという名前なんです。呼びやすいのでくのいちさんと呼ばしていただいているんですよ。」

くのいち「みなさんも気軽にくのいちって呼んでくれていいですよん。」

雲山「佐助君のときから思っていましたが、個性的ですよね。忍びの方々…」
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