ー日常ー街の住人達【2】

ー三重県伊賀市:某所ー

雲山「電車の旅というのも風情が有ってよかったですね」

雷太郎「そうですね」

風太郎「……」

雲山「風太郎君、どうかしましたか?」

風太郎「い、いえ…」

雷太郎「風は少し乗り物に弱くて…」

雲山「なるほど。先に言ってくれれば薬を用意していたのに……」

「薬ならこれをどうぞ」

雲山「これはどうも……」
ぶぉんっ!
チッ!
「ひぇっ?!」

雲山「あ、あぁ、申し訳ない。死角に立たれると無意識に手が出てしまうんだ」

雷太郎「いや、っていうか誰だ……」

佐助「あ、自己紹介が遅れました。東様から猿飛佐助ってモンです」

風太郎「猿飛…」

雷太郎「佐助…」

「「忍者っぽい」」

佐助「よく言われますよ。」

雲山「猿飛君、お久しぶりです」

佐助「雲山さんもお元気そうで。危うく頭が潰れるかと思いましたよーホント」

雲山「申し訳ない」

佐助「ははっ、まぁ良いですよ。そんじゃま、行きますか」

雲山「はい。しかし、連絡がついているということは猿渡さんは……」

佐助「ええ。天の話し届いてますよ。ただ、今ちょっと……」

雲山「ちょっと?」

佐助「詳しい話しは東様から聞いてくだせぇ」

雲山「……分かりました。そうしましょう。雷君、風君、行きますよ」

「「はい」」




ー猿渡邸:大和室ー

佐助「こちらでお待ちくださいな」

雲山「はい。」

雷太郎「広いな」

風太郎「もの凄く」

雲山「猿渡殿はアレで相当なやり手実業家だからね。普段はアレだけど」

雷太郎「想像が」

風太郎「出来ない」

雲山「でしょうね。」

猿渡「よう、まったせたなぁ」

雲山「東殿。お久しぶりです」

猿渡「おっすおっす、雲山坊。」

雲山「いつも父がお世話になっています」

猿渡「何々気にすんなって。どっちかっーとおじちゃんのが世話になってるしな」

雲山「御健康そうでなりよりです」

猿渡「はっはっは、まだまだ夜の方もあの方も元気ビンビンよ、ビンビン」

雷太郎「まるで水と」

風太郎「油な会話だ」

雲山「それで東殿。話は通っていると思いますが……」

猿渡「おう。天の件だろ。手を貸してやりてーんだけどね。今ちぃーっと面倒ごとが起きててな」

雲山「その面倒事とは?」

猿渡「うちの忍隊の中である奴が抜けてな。そいつ個人が抜けるのならまだ良かったんだが忍小隊ひとつまるまる連れて行っちまったんだ」

雲山「ふむ…。」

猿渡「それでその抜けた奴をとっ捕まえたいんだよ」

雲山「なるほど、分かりました。お手伝いします」

猿渡「きききっ、まったくイイ返事だ。」
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