ｰ池袋:裏賭場ｰ

久良三「ふー……」

独「……」

久良三「……どした?まさか、もうすったのか?」

独「いやいや、なんすか、コレ。どういうことっすかコレ」

久良三「なにって……賭場だよ。秘密クラブってほどしゃれたもんじゃないが……実際に金を賭けて遊戯(おあそび)できる場所だよ。」

独「いやいやいやそーじゃなくて」

久良三「じゃあなに?」

独「なんで俺はこんなあっきらかに非合法な場所に連れて来られているですか?」

久良三「金がないって愚痴ってたから連れてきてあげたんだろ。」

独「いやいやいやいや」

久良三「いやいや、五月蠅い。」

独「とにかくこんなヤバいとこは早く出ましょうよ!」

久良三「大丈夫だ。ここはバレ無いよ。バレるとしたら密告だけだな。ちなみに、そんなことしたら……」

独「しないけど!」

久良三「じゃあ、楽しめ。俺がせっかく小遣いやったんだ。遊んでみろよ。俺もその辺りで遊んでるから」

独「ちょっとー!アンタの金なんて怖くて手をつけられないってーの!」

久良三「あんまり騒いでると連れてかれて怖い目にあうぞ」

独「っ……」

久良三「冗談冗談、それじや後でな」

独「ジョーウダンに聞こえないって…」

後楽「じー…」

独「……なんか見られてる」

後楽「じーー」

独「うん、無視しよう。」

後楽「そこの兄さん。」

ガシッ!
独「捕まったぁ…」

後楽「おじさんさぁ、いまちょっとお金がないんだ。貸してくんない?」

独「いや、俺金持っていないんで……」

後楽「クンクン、いやぁ、お金の匂いがするぞぉ～」

独「なにこの人、怖い……」

後楽「おじさんは所謂……僧だ」

独「確かに袈裟は着てるけど……。坊さんがこんな所に来ていていいのかよ」

後楽「他にもパチンコ屋かキャバクラとかにも行くぜ?」

独「どうしよう、限りなくクズの臭いがする……。」

後楽「それでいくら貸してくれる?」

独「ヤバい、貸す流れになってる」

後楽「大丈夫だって、おじさんに任せとけば倍にして返してやるよ。げへへへっ」

独「マイナスにしかならない気がする」

後楽「だいじょうぶ、だいじょうぶだよー、おじさんうそつかないからー」

独「まっっっったく信用できない。」

後楽「いやいや、ホントホント。じゃあ、一回、一回でいいからお金貸して。それだけでいいから五万円くらい」

独「なんで俺の所持金ピッタリ全額を言い当ててるんだ?!」

後楽「おじさん、他人の金の匂いを嗅ぎ分けられるんだよ。特にたかれそうな相手のは」

独「最低だ!!」

後楽「頼むよォ。ここで一発かせいどかないと……おじさん大変な目にあうんだよ。背中焼かれて辛子塗られて海に沈められる感じで」

独「なんかそういう童話聞いたことある。」

後楽「ってことで、おじさんを助けてくれ。」

独「助けてって……助ける義理がないんだけど」

後楽「頼むよー」

独「っていうか、なんで俺なんですか…」

後楽「ここにいる奴ら粗方に金借りてるから初顔の兄さんくらいしか貸してくれないんだよ」

独「超ドクズだコイツ…」