ー日常ー街の住人達【2】

ー百目鬼相撲道場ー

雲水「まっ、こんなところだな。何か聞きたいことはあっか?答えられることは答えてやんぞ」

伊万里「いや、聞きたいことっていうか色々といきなりすぎて整理が追いつかないっす」

雲水「むずかしく考えなくていいんだよ。天が悪いことをしそうなら本気止めるってことで」

魁人「それはいくらなんでも簡略化し過ぎてる気がしますけど…」

雲水「単純なのが良いだろう。がはははっ!」

魁人「やれやれ……細かいのやら大雑把なのやら。」

伊万里「ってーことは……俺の本当の目的は天を見つけ出してとっちめるってことっすか?」

魁人「バカ……。キミはキチンと小鳥遊悠を警護することが仕事。そっちの調査は俺がする」

伊万里「なにぃ?!」

魁人「先生、それでいいですよね?」

雲水「おー……質問で返すようで悪いがいいのか?お前さんに頼んだのは若寅の大将と風雷コンビの世話だけだ」

魁人「彼らの世話もまだまだ完全ではないですし、噂と思っていた天の再動がありえるんなら黙ってるわけにはいきませんからね。」

雲水「そういってくれるんなら頼もしい。」

伊万里「いやいや、俺がいるじゃないですか!」

雲水「いや、お前がいるのは分かってっけど……小僧の警護をちゃんとしろよ?あの道玄がわざわざ頼んでんだから」

伊万里「も、もちろんそれは分かってますよ……」

魁人「分かってるのに護衛対象にちょっかい出してどうするんだか」

伊万里「うるせぇ!」

雲水「それはしゃーねぇわな」

魁人「はい?」

雲水「小僧は、小鳥遊悠はそういうタイプなんだよ。近づけば近づくほど……ちょっかいを出したくなる妙な体質持ちだ。」

魁人「なんですかそれ…」

雲水「なんだろうなぁ、オレもよう分からんが……とにかく人を惹きつける何かはあるんだろうな。」

魁人「へー」

伊万里「えー……そんな感じじゃないんだけどな」

雲水「あぁ、池袋の王様、虎狗琥崇みたいにカリスマがあって良いものを惹きつけるわけじゃない。小鳥遊悠はトラブルを集めるってタイプって意味だ」

魁人「なんだが気になってきましたよ。さっそく明日からでも大江戸学園に潜入調査に……」

伊万里「俺は今夜から潜入する」

魁人「だったら俺は……」

雲水「仲良くふたりで今から潜入して来い」

伊万里「仲良くなんてできねぇっすよ!」
魁人「仲良くなんてできませんっ!」

雲水「十分仲いいだろ、お前ら」

伊万里「ちっ、一時休戦だ」

魁人「先生、失礼します」

雲水「おーう。何かあったら連絡しろよー……聞いてねぇか」

「…………」

雲水「おっと……いつから居たよ雲山(うんざん)?」

雲山「昔話をしていた辺りかなかな。オヤジ、どうして私に頼まない?」

雲水「……立派に頑張ってる息子を厄介事に巻き込みたくない親の気持ちってのが本音だな」

雲山「ふんっ、そういう卑怯な言い方をするのは狡ぞ。」

雲水「がはははっ。お前はオレの息子とは思えねぇほど素直で利口だなぁ。親バカ心抜きで優秀だ」

雲山「オヤジよりオフクロの血が多いってだけだよ、きっと。まぁ、今はちゃんということを聞くけど……場合によったら私だって行動する。十神将、百目鬼家の後継ぎだしな」

雲水「無理に継がんでもいいんだぞ?オレの代で終わらしても。」

雲山「オヤジが終わらせることは、私が継いだ後に生活に支障が出なく物騒なことも起らないようにしてくれることだよ。ま、私も協力するけど」

雲水「まったく……できた息子だぜ」

雲山「っていうか……私が継がないと雲月(うんげつ)がやりたいって騒ぎだしそうなのが怖いんですよ。明らかに妹はオヤジの血が濃く入ってるんだし」

雲水「雲月はやんちゃ娘だっからな。がはははっ」

雲山「笑い事じゃないから…」
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