ー日常ー街の住人達【2】

ー百目鬼相撲道場ー

伊万里「ここで噂の男の登場か…」

雲水「その頃になると十神将は解散からある別の話しが出上がっていた。」

伊万里「別の話し?」

雲水「いや、解散ちゃ解散何だが。副業だった物への移行だな。例えばウチなら相撲道場、駒狸家なら針療所とかな。その上で十神将は形だけって事にしようってなり、各々の頭も次の世代に譲っていくはずだった。その筆頭だったのが龍と馬の二家。九頭竜家の道玄から天へ、そして天馬家の将から蒋(しょう)へ」

伊万里「天馬蒋?」

魁人「息子さんだよ。一番上のな」

伊万里「え、でも……」

雲水「続けるぞ」

伊万里「あ、はい……。」

雲水「最初に異変を感じ取ったのは出来のいいお姫さんだった」

伊万里「神姫お嬢さん…すか?」

雲水「最初、天はとても模範的な存在だった。陽気でひとに優しく、才色兼備文武両道。今こそああだが、昔は道玄やお姫嬢とも家族の仲だった。あるときから道玄でなく天が代表として行動しだした。九頭竜家の筆頭として、道玄の下で修練をつけていた奴らの世話なんかをな」

伊万里「絵に描いたような善人っすね」

雲水「今のところはな、ただ、その辺りから修練に来ていた奴らの何人かが消えた。」

伊万里「消えた?」

雲水「道場通いみたいなもんだ。毎日くる奴もいれば途中で離脱するヤツも当然居る。だけど、消えたのは龍剄の才が有った奴らばかりだ。辛く苦しい鍛錬にも耐え来られたようなな」

伊万里「……」

魁人「……」

雲水「それに気がついたのがお姫嬢だ。あの娘も鍛錬に参加してたひとりだからな。そして、すぐに道玄に報告した。」

魁人「その頃、道玄師は居なかったんですか?」

雲水「即隠居しやがったからな。嫁とクルーザーで世界を周ってやがったよ」

伊万里「想像できない」

魁人「これは同意だなぁ」

雲水「もちろん、すぐに戻って来れるわきゃない。それでお姫嬢はオレのところに報告に来た。そん時は他家に口出しするのはあまり良くない事だとは思ってな、オレも道玄の帰りを待った。これも失敗だったのかもな……。そのことも計算づくだったのか道玄がちょうど戻って来たと同時に天は十神将全員を集めて緊急集会を開いた。」

伊万里「緊急集会?」

雲水「あぁ、集会の目的は最初誰にも分からなかった。その内容はこうだ「九頭竜天は弥一になり変わる」。」

伊万里「なり……変わる?」

雲水「自分は弥一と以上だと言い切った。そうなると弥一がいない今は自分が弥一の立ち位置にいるとな。そして世界を自分の物にするとまでな」

魁人「子供の夢物語ですね」

雲水「そうだな。だが、奴は本気だった。奴の最初の目的は小鳥遊兜馬の拉致。目的は金とも思えるが真意は不明。オレ個人の考えでは力の見せつけだったんだと思ってる。たたったひとりでしかも素手、つはりはただの力ずくで小鳥遊コンチェルを丸々一個支配できたなら……そりゃ色々とはばや何やらを効かせられるからな」

魁人「ゾッとしますね。」

伊万里「でも、十神将を集めたのはなんのために?」

雲水「オレらも参加に加える算段だった。龍剄の鍛錬に来てた奴らも引きぬいていたしな。新世代系統の奴らのみ」

伊万里「新世代?」

雲水「オレも詳しくは分からん。ただ道玄曰く龍系統は大きく分けて九つの龍が存在する。それから派生して今までは別種の龍が生まれていたらしい。オレの知ってるのでは鬼状態と翠龍の毒の併せモノだ。道玄はまだまだ龍の形は出来てないがいずれ新たな龍となると言っていた。」

伊万里「……」

魁人「分かりやすく悔しそうな顔をしてますよ」

伊万里「うるせぇ」

雲水「っと、話しがソレたな。天の本質を見たオレ達は当然反対した。だが、それに賛同した奴がその場にいた」

伊万里「いったい誰が?」

雲水「天馬蒋。天馬将の息子だ。」
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