ー日常ー街の住人達【2】

ーとある事務所ー

窈「ちょっとごめんよ」

律子「おや、プロデューサー殿。今日はオフだったんじゃ?」

小鳥「あ、もしかして事務仕事を手伝いに!」

窈「うん、違うよ」

小鳥「ぴよっ!!」

窈「ちょっと、奥貸して。それと、カメラも」

律子「いったい何ごとです?」

窈「あ、うん。ちよっと入ってきて」

京「おじゃまします」

熊彦「まいどー」

小鳥「熊君と……」

律子「そちらは?」

窈「ちょっとした知り合いなんだけどね。すごく素材が良いから写真を取るのをお願いしたんだ」

小鳥「そうなの?」

京「服を買ってもらってその代わりに写真を撮らせてくれって言われた。」

小鳥「服を買ってもらって……」

律子「プロデューサー殿?」

窈「いやいや、変な誤解しないで!いや、確かになにも違ってはないんだけど本当に変な事じゃないから。ねぇ、がりゅーちゃん、俺たちは知り合いだよね。」

京「うん。悠の友達は己の友達で知り合いだ」

熊彦「悠の敵かもしれないけどな…」

京「そうなのか?!」

窈「敵じゃないよ!熊彦!」

熊彦「冗談だって」

窈「ったく……」

京「……」

窈「いや、本当に敵じゃないからね」

京「そうか、分かった」

律子「素直に受け入れた」

熊彦「おっそろしく素直だよ。この娘」

窈「その分、芯が強いんだろうけどね。」

熊彦「腕っぷしもな」

小鳥「腕っぷしも?!」

窈「さて、それじゃ、ちょっとだけお化粧してちょっとだけバシッと決めてガッツリ写真撮ろうか」

京「己が思うにそれは全然ちょっとじゃないと思う」

熊彦「後半はガッツリっていってるしな」

窈「それじゃあ、律子さん、がりゅーちゃんのメイク頼んでもいい?あと着こなしのチェック」

律子「はいはい、分かりましたよ」

小鳥「私は?」

窈「仕事してください」

小鳥「してるのにぃ……」

熊彦「……」

小鳥「熊彦君、手つ……」

熊彦「無理」

小鳥「せめて最後まで言わせて!!」



~~


律子「こんな感じでどうです?髪はポニテをやめてストレートに流し、スカートはちょい短め、当然さらしじゃなくてブラジャーを着用。濃すぎない程度にチークをうかせてより健康的かつ明るい感じに仕上げてみたんですけど。」

窈「おー、いいね!可愛いよ。」

京「……何かスースーする」

熊彦「……女の子になってる」

小鳥「可愛い!確信!」

律子「っていうか、あんなぎちぎちにさらし巻いててよく呼吸出来てたわね、この娘。コルセット並にガチガチだったわよ」

小鳥「さらしって……」

窈「それじゃ、写真撮ろうかなぁにほんの数十枚だよ」

京「その写真は貰えるのか?」

窈「もちろん。想い出として飾っておくといいよ」

京「わかった。」

窈「ただ、表情が硬いなぁ」

熊彦「魔法の言葉を使えばいいじゃないか」

律子「魔法の言葉?」

窈「コホン……写真が取れたら悠君にもあげるといい。きっと喜ぶよ、可愛いがりゅーちゃんを見れたら」

京「本当!喜ぶのか?!」

パシャ
窈「もちろん。」

京「そっか……喜んでくれるならうれしいなぁ」

パシャ
窈「はい、最高の笑顔ありがとう」
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