ー日常ー街の住人達【2】

ー池袋界隈ー

窈「ちなみにいくら預かってきたの?」

京「三万円」

窈「三万円か……。」

熊彦「カツアゲする気か?」

窈「ぶん殴るよ?」

京「カツアゲだったのか!」

ざわざわ…
ざわざわ…

窈「違うから!人通りのあるところで大声でそういうこと言わないで!」

京「違うのか?」
ザッ

窈「ちがうから身がまえないで!」

熊彦「すいません、なんでもないんです。気にしないでください」

窈「はぁ……もしよかったらだけど俺が服を見立ててあげようか?」

京「窈が?」

窈「これでも少しは女性の服に関しては詳しい方だよ」

京「うーん……」

窈「可愛い格好したら悠君も喜ぶんじゃないかな」

京「じゃあ、よろしく頼む!」

熊彦「最後のひと押しが超早かったな」

窈「「悠君が~」って言葉の効果が強すぎるんだね」

熊彦「……悪用するなよ」

窈「あのさ、俺、遠慮せずにお前のことは殴るよ?」

熊彦「冗談だよ。」




ー池袋:ブティックー

窈「とりあえず秋物でコーデするとして。やっぱり流行物のタイトスカートかな。スウェットとチェックシャツを合わせてボーイッシュにして……ニット帽とエンジニアブーツでアクセントに決めるってのでどうかな?店員さん、これの色違いってあります?」

店員「ございますよ。」

窈「それじゃあ、あの娘のサイズに合うものを……」

京「凄いな窈は。己は何いってるかさっぱりだ」

熊彦「いや、俺にもそういうのはさっぱりだけど……あいつはとりあえず凄いんじゃないかな。」

窈「はい、どうも。それじゃあとりあえず試着してみようか」

京「分かった。着替えてみる」

熊彦「……」

窈「んー、スカートよりパンツの方が良かったかな。チノパンとボーダーっていうのもありだったかな……どう思う?」

熊彦「よー分からん」

窈「少しは分かれ。っていうか、理解できるように勉強しろ」

熊彦「俺は勉強ってものが嫌いなんだ。」

京「着替えたけどこれでいいのか?」
しゃらん

窈「おー。いいね。悪くない、ねぇ。悪くないですよね?」

店員「はい、よくお似合いだと思います」

京「そうか…。」

窈「あとは、んー、ちょっと髪ほどいてみようか」

京「髪か?」

窈「そうそう。たぶんその方が似合うよ。ついでに写真も撮らせてほしいかな。これはもしかしたら相当の原石かも……」

京「げんせき?」

熊彦「仕事の方はとりあえず服買ってから別の場所でしろよ…」

窈「おっと、それもそうだね。すいません、これ一式でいくらになります?」

店員「4万3千円です」

京「足りない」

窈「それじゃあカードで」

店員「ありがとうございます。レジはこちらです」

京「え?」

熊彦「気にしなくていいと思うぞ。多分この後写真とか取られたりするし」
15/100ページ
スキ