ー日常ー街の住人達【2】

ー池袋:駅前カフェー

窈「あー……せっかくのたまの休日が台風真っただ中かぁ」

熊彦「なんで俺が付き合わされてる?」

窈「なんか用あった?」

熊彦「ないけども……ないけども、休みになんで上司(?)と顔突き合わせてコーヒー飲んでるんだって話し」

窈「俺のは紅茶」

熊彦「そういう話しじゃないだろ…」

窈「今のは分かっていていったんだ。ユーモラスだろ?」

熊彦「腹しかたたねぇよ!」

窈「んー……この場合は成功なのかな」

熊彦「なにが?」

窈「悠っぽいってこと」

熊彦「……アンタまだ固執してんのか」

窈「固執はしてないよ。ただまぁ、一応ね。い・ち・お・う。」

熊彦「ま、いいけどよ……。」

窈「ケーキとか食べる?」

熊彦「どうせだったら肉くいてぇよ……。なんで、よりによってケーキ」

窈「コーヒーにはケーキかなって」

熊彦「仮にそうだとしても俺には勧めないだろ……女にならともかく」

窈「あぁ……職業病だ。だいたい、話すとしたらアイドルの子たちだし」

熊彦「聞くやつが聞いたら嫉妬にかられるだろう台詞だな」

窈「はは…」

熊彦「乾いた笑いだな」

窈「手出した時点で、俺もアイドルも色々終わるけどな…」

熊彦「生殺しか」

窈「そうでもないよ。俺もきっぱり割りきってるし……女の子の方もそういう目では見ないよ。普通」

熊彦「そんなもんかねぇ」

窈「そうそう。あぁ、でも新しい娘のスカウトしてもいいかなぁ」

熊彦「まだ増やすのかよ?!」

窈「まだって、事務所を大きくするためにアイドルを増やしていくのも仕事なんだよ?」

熊彦「俺はお抱え運転手だ。そんなこと言われても困る」

窈「なにいってるの、いつも言ってるだろ。ドライバーは色々と移動する時間も場所も多いんだからちゃんとチェックしとかないと」

熊彦「できるかよ?!俺がチェックできるのは関わってヤバいやつかどうかだけだ」

窈「難しく考えなくていいんだよ。たとえばここから見えるひとで選ぶとしたら?」

熊彦「選ぶって……わっ、アレはヤバいな。」

窈「どれ?」

熊彦「ほら、窓の外の向こうの通りの二人組」

~~

王『……』

漆原『……』

~~

窈「……」

熊彦「あの、目つきは絶対にカタギじゃないぞ。けど、特に右側の男のがヤバいな。狐みたいな顔のほう。得体の知れない感じがする……」

窈「俺がいってるのはヤバい相手じゃなくて女の子の話ししてるんだけど?」

熊彦「女ねぇ。乳がでかい、尻がでかいとかしか分かんねぇよ」

窈「それでも美人とか可愛いとかあるでしょう?んん?」

熊彦「なんでハンギレなんだよ……。っていうか、休日に仕事の話しするなよ」

窈「……確かなそうだ。何か頼む?」

熊彦「肉とかあるか?」

窈「カツサンドなら」

熊彦「ならそれで」
13/100ページ
スキ