ー日常ー街の住人達【2】

ー駒狸針療所ー

水仙「ふんふん、その後調子はどうだい?」

「へぇ、お陰さまで腰も調子いいんですよ」

水仙「そうかい、そうかい。そいつはよかったわい。ほい、今日の分はおわったさね。」

「ありがとうございます。」

水仙「無茶はしなさんなよ」

「えぇ、それはもう。それはもう。」

水仙「ふぅ……こんなところかねぇ。昼だし、休憩入るから表に看板出しときな」

鍼灸師「わかりましたー。」

水仙「そのまえに……おい、生きとるかえ?」

「……生きて……ますよ……。」

水仙「死んでないなら良好良好」

「……うぅ」

水仙「無理に動こうとしなさんな。骨はともかく内臓には傷があるんだ」

「…………」

こんこん

水仙「はいな、誰だい。」

道玄「儂だ」

「師匠っ……ぅっ!?」

道玄「あぁ、動かんでいい。伊万里(いまり)」

伊万里「面目ないです」

道玄「容態はどうなのだ?仙バァ」

水仙「ババァいうな!」

伊万里「ま、まぁまぁ、落ち着いて」

水仙「ふんっ、腹ぶん殴られただけだよ。あと少しズレていたら致命傷だったろうけどね。」

道玄「そうか……そこまでの凶者を送り込んでいるのか」

伊万里「あ、いや……これはその……違うといいますか」

道玄「む?」

伊万里「これは小鳥遊悠にやられたものでして……」

道玄「……儂はアレを警護しつつ敵を排除するように頼んだはずだが?」

伊万里「申し訳ありません……。何故か割りこまれるは掴まれるわでやり合うはめになって」

道玄「なるほど、それは仕方ない」

水仙「納得するんかい」

道玄「儂も色んな人間を見てきた……弥一もそうだったが、あの血筋の人間は時にこっちの予想外の行動を取る。手を貸してやろうとしているのに噛みついてくることもまたありうる」

伊万里「……」

道玄「仕方ない。こうなったのも儂の責だ。自分でいこう」

伊万里「待ってください。俺は平気ですよ」

道玄「そのなりでか」

伊万里「水仙さんのおかげでほぼ治っています」

水仙「治ってないよ」

道玄「治ってないらしいぞ」

伊万里「……治してみせます!」

道玄「……どうなんだ?」

水仙「馬鹿と水虫以外ならちゃんと治せるよ。まぁ、一週間早くて四日だろうね。」

道玄「ほう……意外と早いのだな」

水仙「幸い骨に損害は無いし、殴られる寸前に外したんだろう。見た目より傷は浅いよ」

伊万里「外した?」

水仙「殺す気はもとより意識を飛ばすことを狙って当てる瞬間、意識的に怪我につながらない部位を殴ったってことさね。」

道玄「悠に勾引かされたな」

伊万里「あのガキがあぁぁぁ!」

道玄「大声をだすな」

ゴンッ!
伊万里「あがっ……も、申し訳ありません……」

道玄「まぁいい……水仙しばらく頼む」

水仙「はいはい、分かったよ」
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