ー日常ー街の住人達【2】

ー小鳥遊窈邸:庭ー

窈「はぁー……たまの休日なのに早起きしちゃったよ。いい天気だなぁ…………ん?」

悠「ふんふんふーん♪」

しゃーー
【彼岸花】
【彼岸花】
【彼岸花】
【彼岸花】
【彼岸花】

窈「なんじゃありゃ……ちょ、悠くん!!」

悠「ふ……ふんふんふーん♪」
チラ

窈「チラ見して聞こえなかったふりしない!」

悠「チッ。朝から大声出すなよ。近隣の方々に迷惑でしょう!」

窈「俺も近隣の人なんだけど!」

悠「……」

窈「……」

悠「ふんふんふーん♪」

窈「はい!無視しない!」

悠「なんなんだ。挨拶も無しにぎゃーぎゃーと」

窈「むっ……おはようございます」

悠「ふんふんふーん♪」

窈「分かってた。無視されることくらい分かってた……」

悠「ノリがいいのかバカなのかどっちなんだ?」

窈「当たり前のことをしただけなのにみの言われよう……そんなことより、これはどういうこと?」

悠「これ?」

窈「このゾッとするほどの彼岸花畑!一瞬彼岸に迷い込んだかと思ったよ」

悠「逝きたいならどうぞ。」

窈「いかないよ!それより説明!」

悠「植えた水やった咲き誇った」

窈「なんで単語で説明……」

悠「今北産業のがよかったか?お約束で四行いうけど」

窈「なんでもいいけど、なんでよりにもよって彼岸花?」

悠「綺麗じゃん」

窈「綺麗……」

悠「妖艶な感じが素敵だ」

窈「素敵……」

悠「しかも有毒」

窈「そこ大事?!」

悠「大事だろ。全草有毒で、特に鱗茎にアルカロイド(リコリン、ガランタミン、セキサニン、ホモリコリン等)を多く含み。経口摂取すると吐き気や下痢を起こし、ひどい場合には中枢神経の麻痺を起こして死に至ることもある。」

窈「なんでそこだけしっかりと説明するの?ねぇ?」

悠「いや、最終的にしぼり汁を後楽に飲ませるのが楽しみで楽しみで」

窈「やだ、身内が毒殺をリアルに目論んでる?!」

悠「いや、たぶんこの程度では死なないだろうけど麻痺らせれたらと思ってる。」

窈「それでも毒を飲ませる気まんまんなんだね…」

悠「トドメはおれが刺す」
ぶんっぶんっ!

窈「ダメだ。目がマジだ……」

悠「まぁ、ついでにこの家の周りを彼岸花だらけにして、ご近所からお化け屋敷と呼ばれるようにするサブ計画ももくろんでいる」

窈「何ソレ酷い……あ、それよりさ、あの白いのも彼岸花?」

悠「白い彼岸花だ。珍しいだろ。もちろん有毒」

窈「あぁ、そう……」

悠「くくっ、あーっはっははは!」

窈「はぁ……」
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