ー日常ー街の住人達【2】

ー百目鬼相撲道場ー

道玄「調子はどうだ」

雲水「いやぁ、若いてのは元気が良くていいな、ホント」

寅「…………」

道玄「ふむ……まだ生きてはいるようだな」

寅「……あぁ」

道玄「それでも不機嫌だな」

雲水「色々となぁ、不満があるらしいんだ」

道玄「ほう……なにが不満なんだ」

寅「……こんな俺でもよぉ。他人様の家に世話になってるのに文句なんかあわねぇよ。っーか、別に不満があるなんていってねーだろ」

雲水「勘だ」

寅「勘って……」

雷太郎「先生の勘の良さ」

風太郎「は相当のものだ」

寅「他も異常なのに勘もいいってなんだよ」

道玄「鬼状態の本質は直感の良さだ。自ずと勘も良くなる」

寅「……それなら俺は何が不満とみてる?」

雲水「んー……さぁな。勘は勘だ。読心術とはちげぇしな。」

寅「ふん、ならその勘はハズレだな」

道玄「そうだ。古いものだが頼まれてた物を持ってきたぞ」

雲水「おぉ、すまんな。雷、風」

雷太郎「お持ちします」
風太郎「お持ちします」

道玄「うむ」

雷太郎「それで」

風太郎「これは」

雷太郎&風太郎「「何なんですか?本みたいですけど」」

雲水「もちろん本だ」

寅「なんのだよ」

道玄「栄養管理の本だ。なんだ、お前が頼んでいたものじゃないのか」

寅「あ?」

雲水「オレが頼んだ」

道玄「なんだ、お前か……だが、どっちにしろ関係があるのは若寅大将だろ」

寅「話しが見えねぇし。アレか、おっさんらの中では俺の名前は若寅大将ってふざけた名前か」

雷太郎「いいあだ名じゃないか」

風太郎「一昔前のヤクザっぽい」

寅「黙れ。それでそんな栄養なんたら本がなんで俺と関係する」

雲水「お前食うもんに色々と制限あるだろ」

寅「は?」

雲水「うちで出す飯は肉をつくるもんがメインだ。けど、ボクサーのお前は肉ばっかりじゃ駄目なんだろ体重制限とかで絞り切れる程度で体力着くもんくわねぇとダメだろ」

寅「……」

雲水「だから、道玄に頼んでその手の本を頼んでおいた。まぁ、料理するのはオレじゃあねーけどな。がはははっ」

寅「……頼んでねーぞ」

雲水「気にするな勝手にオレがやったことだ。がはははっ」

寅「……」

雲水「そうだ。とびっきりは送ったか?」

道玄「送った。ま、少なくともヤツの好きなようにはさせん」

寅「どんな奴だよ、そのとびっきりって」

道玄「そうだな……導火線が二ミリくらいしかないヤツだな」

寅「は?」

道玄「冷静なようで……頭に血が上りやすいヤツってことだ」
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