ー日常ー街の住人達【2】

ー小鳥遊邸:台所ー

悠「…………これはアレだな。夜中にお腹が空いてしまう現象だ。だから何か食べよう、そうしよう」

アリス『なんで自問自答してるの?さみしい人なの?』

悠「しっ……誰かに気づかれたらどうする。夏場と違って真桜も普通に行動するんだぞ。こんなところ見つかってみろ廊下の冷たい床に正座させられる」

アリス『勝手にひとりごと言ってたくせに』

悠「お前がいるからひとりじゃない。ギリギリふたりだ」

アリス『後ろ』
スッ…

悠「後ろ?」

ゆえ「……」

悠「?!」

ゆえ「なにしてるの……」

悠「そっ、れはこっちのセリフなんだけど」

ゆえ「おといれ……」

悠「なぜわざわざ一階に…」

ゆえ「おみずのみにきた、そしたらあやしいくうごめくかげをみつけたから……」

悠「それはおれのことか?」

ゆえ「おとーさんのことだった。なにしてるの……」

悠「ええと……小腹がすいたのでちょっとあさりに」

ゆえ「ずるい……」

悠「ズルクナイヨー」

ゆえ「……」

悠「……あー、なんだ。小腹すいてる?」

ゆえ「おおきくすいてる……」

悠「大きくかい……わかった。それじゃあ、部屋に戻って静かに着替えて来い。夜は寒いからちゃんと厚着してな、こっそり何か食べに行こう」

ゆえ「やったー……!」

悠「はい、騒がない」




ー池袋:居酒屋三日月ー

悠「うー寒い」

ゆえ「しゃむい……」

凛「あら、いらっしゃい」

ゆえ「ちょういいにおい……」

悠「キリンさん、おでんのいいところを頼みます」

凛「はいはい。なにがいいかしら」

ゆえ「ぜんひんもくをまずはいっぴんづつ……」

悠「全部を「まずは」なんだな」

ゆえ「わたしのいぶくろはむげん……」

悠「お父さんの財力は有限なんですけどね」

凛「お酒はいかが?」

悠「じゃあ、熱燗……いや、ぬる燗で」

凛「はい、わかりました」

ゆえ「おとうさん、おとうさん……」

悠「ん?」

ゆえ「はふはふ……ふぉへんふあぁさつじんてきにおいしいでふ……」

悠「よかったな」

ゆえ「はふはふはふはふはふはふはふ……」

悠「……よく火傷しないな」

ゆえ「うわあごがべろべろになってもたべるのをやめない……!」

悠「いや、それは一時停止しろ。のちのち地獄を見ることになるぞ」

ゆえ「だいじょうぶだもんだいない……」

悠「本当におれの娘だなお前は…」
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