ー奇談ー學校へ行こう10

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「……」

千世子「なのだ!」

サタン「なのだー!」

亘理『悠ちゃんなにぼーっとしてるの?』

悠「いや、サタンの身体つきがエロいなーって思って」

亘理『ガブッ!』

【羅刹鬼】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。東北地方の太平洋側にある岩手県の岩手という名称、一説には「羅刹鬼」という鬼と「三石様」という神様の伝承からつけられたそうなのだ。」

亘理『ガシガシ』
悠「……」

サタン「美味しいのだ?」

摩耶「ゲテモノは美味しいっていうじゃない」

悠「誰がゲテモノか!!」

神姫「毒物よね」

悠「おれは毒キノコか!」

千世子「現在、岩手県の県庁所在地がある盛岡市には、その昔、羅刹鬼と呼ばれる恐ろしい鬼が住み着いていたというのだ。この羅刹鬼は、罪のない人から血を絞り取り反抗するものは噛み殺すなど、悪行の限りを尽くしていたのだ。」

摩耶「まぁ、あるいみ毒キノコかな。下半身とか」

神姫「……」
ゴッ!
悠「おれが殴られるの?!」

サタン「どういう意味なのだ?」

スキュラ「そのままの意味で悠さんの下半身は毒キノコなのでしょう」

悠「ちげーよ!」

千世子「羅刹鬼の横暴に耐えきれなくなった村人たちは「三石様」という巨大な三つの石に、羅刹を退治してくれるように頼みこんだのだ。民の願いを聞き入れた三つ石の神は、たちまち羅刹鬼を捕まえ停止に縛り付けてしまうのだ。すると羅刹鬼は、これまでの傍若無人ぶりが嘘のように涙を流して命乞いをしたというのだ。」

ベヒモス「キノコに毒なんてあるモス?」

摩耶「ベヒモスちゃん毒が効かない系なんだね。」

悠「っか、草食なんだよな……」

ベヒモス「お野菜大好きモス」

神姫「石とかは食べないの?」

千世子「そこで三つ石の神は、羅刹鬼にこの地方に二度とやってこないことを約束させ、その証拠として、三つ岩に羅刹鬼の手形を押させてから逃がしてやったのだ。それ以来、この地域は「岩手」と呼ばれるようになったというのだ。」

ベヒモス「石なんて食べられないモス!」

神姫「あら、ごめんなさいね。」

悠「鉱石喰うのはグラビモスだしな」

摩耶「熱線ビーム」

サタン「ビームなら我は出せるのだ!」

千世子「現在静岡にはこの三つ石を祀った「三つ石神社』があり、境内には羅刹鬼が手形を残したという3つの大きな石があるのだ。この医師には、今でも、雨が上がった時などには羅刹鬼の手形が浮かび上がるといわれているのだ。」

悠「お前のはビームじゃなくてオーラだろ」

摩耶「物体を遠距離で破壊できるって意味なら一緒だよね。」

悠「まぁ、それもそうか」

神姫「いや、氣(オーラ)と光線(ビーム)は違うでしょ」

スキュラ「水圧ブレスなら私も撃てますよ?」

千世子「羅刹という言葉自体は、サンスクリット五(インドの古典言語)にある「ohシャーさ」の音を拾って当て字をするように感じ役したものなのだ。このラクサーシャは、もともとヒンドゥー教の悪心だったものが、仏教に取り入れられる過程で、ひとの肉を食う恐ろしい怪物とされたものだというのだ。こうして仏教に取り入れられた羅刹は、、人肉喰の怪物というだけでなく、地獄で罪人を苦しめる『獄卒』という鬼たちの事もさすようになるのだ。すなわち羅刹とは、固有の鬼を指す言葉ではなく、仏教における「鬼」全般の呼び名になったのだ。」

亘理『がぶがぶ!』
悠「やっぱりモンスターなんだよな」

摩耶「悠君の頭にもすごいなのがいるけどね。」

サタン「めっちゃ噛んでるのだ」

ベヒモス「痛くないモス?」

悠「もちろん痛いよ?」

千世子「恐らく岩手の羅刹鬼は、「羅刹鬼」という名前の鬼が居た、というわけではなく、かつてそこには「悪鬼(=羅刹)」のごとき「何か」が住み着いており、里に住む村人たちを苦しめていたことを示しているのだと思われるのだ。このように、敵対する何かを鬼などの偉業の存在と呼んで相手を乏しめていたところ、後世でその伝承がそのまま受け取られ妖怪となってしまった存在は数多く、例えば土蜘蛛や両面宿儺、酒呑童子などがその代表例と考えられているのだ。以上、羅刹鬼のじゅぎょーだったのだ。」
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