ー奇談ー學校へ行こう10

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「とりあえず、暇ならこれで遊んでろ。」

サタン「なんなのだ?」

悠「オセロ」

摩耶「シンプルだね」

悠「難しいのはサタンじゃ無理だろ」

サタン「馬鹿にされてるのは分かるのだ!」
ドゴッ!
悠「おぐぁっ!」

【灰坊主】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。近代化した現代の家にはまず見られなくなったが、その昔日本の多くの家屋には、料理、暖房、照明に使う囲炉裏があるのが普通だったのだ。」

悠「最高にハイってやつだぁぁっ!」
ガバッ!

神姫「静かに起き上がりなさい」

悠「あー、オナカイタイ……」

亘理『一瞬くの字に曲がってたよ身体』

悠「加減知らずのせいだ」

千世子「東北地方の妖怪はい坊主は、生活に欠かせない囲炉裏の灰の中に住むとされた妖怪なのだ。名前の坊主は子供や僧侶の事ではなく、怪物、化け物を意味し、灰坊主とは言いかえるならば「灰に住む化け物」というような意味になるのだ。」

サタン「してるのだ。」

スキュラ「まぁ、していなかったらここいら一帯は吹き飛んでるでしょうね。」

摩耶「破壊規模がヤバい」

悠「動く自然災害だな」

サタン「ふふんなのだ!」

千世子「この妖怪は、囲炉裏の中を深く掘ると現れるのだ。また地域によっては、風呂に二回はいる、全裸でトイレに入る、お供え物のご飯を食べるなどの行動をすると灰坊主が出現するとも伝えられるのだ。しかし不思議なことに灰坊主がどのような外見をしているのか詳しく伝える物語はないのだ。」

神姫「褒められてはないわよ」

ベヒモス「暴れるのはよくないモス」
ズズッ、バキドシャ!

悠「動くだけで色々と引っ掻けてますけどね。」

ベヒモス「……」

摩耶「もー、落ち込むからストレートに言っちゃダメだよ」

千世子「妖怪研究科の村上拳二などは、灰坊主は教訓のために生まれた妖怪だろうと憶測する。生活に密着している囲炉裏は神聖なものと考えられ、その灰も大切に扱われたのだ。そのため、特に子供が囲炉裏の灰にイタズラをしようとしたときなどは、大人が「灰坊主が出るぞ」といって脅かしつけ、注意していたのだ。」

悠「サーセン」

スキュラ「謝る気有りませんね。」

悠「ありますよ、多分」

神姫「一回、尻尾で張り倒すといいわよ」

べヒモス「多分、死んじゃうモス」

神姫「それが意外と死なないのよ」

千世子「灰坊主と同じように「○○が来るぞ」といって、悪さをする子供を脅かしつける文化は日本各地に存在するのだ。九州地方では「蒙古高句麗(むくりこくり)、鬼が来る」というのだ。この蒙古高句麗とは「鬼や恐ろしいものの」例えで、今から800年以上前、モンゴル帝国が高句麗軍とともに侵攻してきた元寇に由来するのだ。」

悠「死んだら困るでしょ!」

亘理『困る!』

サタン「困るのだ!」

摩耶「多分、死んでも何かとして生き返るよ」

亘理『それなら……』

サタン「いいのだ!」

悠「よくねーよ!」

千世子「当時の人々は、進行してきた軍隊を、蒙古高句麗といって恐れたのだ。ここから蒙古高句麗は恐ろしいもの全般の例えとなり、さらに子供をおどかしつける言葉として使われるようになったのだ。以上、灰坊主のじゅぎょーだったのだ。」
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