ｰ教室ｰ

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

アリス『……』

サタン「……」

悠「え、あの二人なんで睨み合ってる?」

摩耶「さぁ」

神姫「なにしたのよ?」

悠「はい、なんでもおれのせいにしない!」

【蝦蟇】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。蝦蟇とはヒキガエルの呼び名のひとつなのだ。ヒキガエルのみならずカエル全般は、その気味の悪い外見と不思議な行動から妖怪扱いされやすい動物なのだ。」

アリス『悠が死んだら私のオモチャになるの!』

サタン「アレは我の家臣なのだ!」

悠「ああ、おれの人権が無視されてる感じだった」

摩耶「死んでも玩具になれるんだって良かったね」

悠「高確率でゾンビだからよくないな」

千世子「妖怪化した蝦蟇が持つとされる能力は、物体や精気の吸引、火や毒を操る、巨大化、人間変身など多数に渡るのだ。ひとつずつ紹介していくのだ。」

神姫「今でもゾンビみたいなもんでしょ」

スキュラ「なるほど、モンスターでしたか。納得です」

悠「人間!ちょー人間!」

ベヒモス「蝶人間モス?」

摩耶「モスマン」

千世子「帰る妖怪は様々なものを吸い込む力があると信じられていたのだ。これは現実のカエルが目にも止まらぬ速さで舌を伸ばし遠くの獲物を食べることに由来したものだと思われるのだ。ある伝承で人々が家に集まって話していた時の事。お盆の上の餅がひとりでに庭の方に飛んでいくので人々が不思議がっていると、主人が「丹羽に食べる奴がいるんです」というのだ。見ると庭に大きな蝦蟇が蹲っていて、その口の中に餅が飛び込んでいったというのだ。」

悠「誰がUMAやねん」

亘理『UMAも妖怪かな?』

神姫「妖怪みたいなものでしょうね」

摩耶「ビッグフットとかは怪獣だからモンスターかな」

悠「シーラカンス」

雨「それは生きた化石」

千世子「食べ物位なら害はないが、もちろんそのほかのものも吸い込むのだ。伝承によれば、日に日に体調が悪化する主人に仕えている者が、縁の下にスズメが入ったきり出てこないことに気がついたのだ。注意して見てみると、縁の下に近づいた猫やイタチが吸い込まれるように床下に入って、それきり出てこないのだ。家人が床板をはがしてみてみると、床下のくぼみに大きな蝦蟇が潜んでおり、周りには毛やら骨やらが散乱していたのだ。この蝦蟇を打ち殺したところ、病人の体調が回復したというのだ。この蝦蟇は小動物だけではなく、主人の精気も吸っていたのだ。」

悠「まぁでも、とりあえずゴライアスってついてる生き物はモンスターみたいなもんだけどな」

亘理『ゴライアス?』

摩耶「ゴライアスバードイーターとか」

悠「鳥喰う蜘蛛」

亘理『ひぃっ!』

神姫「世界最長だと子犬くらいあるらしいわね。」

千世子「もし蝦蟇が厩に住みつくと、馬は精気を吸われてたちまち骨となってしまうといわれたのだ。それほどカエルの「吸い込む力」は恐れられていたのだ。」

悠「顔に張り付かれたら卒倒しそうだよな」

ベヒモス「怖いモス…」
ググッ

神姫「その尻尾の方が怖いからね」

悠「叩き付けで一撃」

摩耶「立派だよね」

千世子「現実のヒキガエルは、耳の下から毒液を発射することができるのだ。これが目に入ると目が潰れるとされたり、その毒性を利用して「強心剤』として利用していたのだ。この毒液には単なる毒を越えた不思議な力があるとされ、蝦蟇は箱に閉じ込めても、いつの間にか姿を消すという迷信があったのだ。これらが芝居などで「ニンジャが蝦蟇の忍術を使う」設定のモデルになったというのだ。」

亘理『他にどんなゴライアスが居るの?』

悠「ゴライアスガエル」

摩耶「80センチぐらいだね」

亘理『ひぇっ!』

神姫「飛びつかれたら普通に痛みを感じる大きさね。」

千世子「毒液だけでなく、火を噴く蝦蟇の話も伝わっているのだ。岩手県に毎夜火柱が立つ場所があり、皆が気味悪がっていたのだ。ある人が行ってみると確かに火柱が上がっていたので、その中心を切りつけると火柱は消えてしまったのだ。翌日村人が皆で行ってみると、そこには大きな蝦蟇の死体が残されていたというのだ。今日はここまでで、続きは次回なのだ。」