ー奇談ー學校へ行こう10

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「あれ、仲魔にするのってこんな難しかったかな」

摩耶「お好きなのをどうぞ」

サタン「……」
スキュラ「……」
ベヒモス「……」

悠「三者三様にいいところがある。まぁ、全員女子ってだけでウキウキですよ」

亘理『ガジッ!』

【三吉鬼】

千世子「コホン、はい、じゅぎょーしますなのだ。三吉鬼は、東北地方の北北部にある秋田県に伝わる妖怪なのだ。鬼というと人間の敵対者として勇者に倒されることが多いが、この三吉鬼は条件さえ合えば人間の手伝いをしてくれるなど、人間と共存している珍しい鬼なのだ。」

悠「おれの知ってる鬼は何か執拗に殴りかかってくるけどな」
亘理『ガジガジ』

スキュラ「平気なのですか?」

悠「平気ではないけど、まぁ何とかガードしてるよ」

摩耶「多分、頭の事だよ」

千世子「三吉鬼の外見について詳しい記述がなく、日本人が想像する一般的な鬼の姿をしているのか、それ以外の姿なのかもわからないのだ。小柄な男の姿で現れたという記述はあるが、三吉鬼には返信能力があるため、これが本来の姿かは不明なのだ。」

ベヒモス「もしかして美味しいモス?」

亘理『……ちょっと』

悠「怖いこと言うなよ」

神姫「そうよ。腐ってて毒あるわよ」

悠「腐ってもないし毒もないYO!」

千世子「三吉鬼はとにかく酒好きな鬼で、酒屋で大酒を飲んでは代金を払わずに出ていってしまうのだ。その場で代金を要求すると祟りを起こすが、黙っていかせたところ、翌朝には酒代の十倍ほどの価値はある、大量の薪が戸口に積んであったというのだ。そのうち三吉鬼にお酒をお供えして、力仕事をしてくれるよう願掛けするものもあらわれたのだ。一晩たってから見に行くと、どんな重いものでも動かされていたというのだ。」

摩耶「最近、その「YO」ハマってるの?」

悠「いや、そうでもない」

サタン「あーーーん」
ガキッ!
悠「あぶなっ!なにをする!」

サタン「家臣の味見なのだ」

悠「今のは味見レベルじゃねーよ!」

千世子「三吉鬼の伝承の裏には、秋田県の地方信仰があると考えられるのだ。三吉鬼のモチーフになったと考えられるのは「三吉様」という神をまつる信仰なのだ。三吉様を祀っている三吉神社の言い伝えによれば、この神は藤原三吉という秋田の豪族が城を追われ、その恨みから祟り神になったものだというのだ。」

スキュラ「甘噛みしてるのですか?」

亘理『……いや、割と本気で噛んでる』

サタン「なら、我もいいのだ!」

悠「よくねーよ!なんかお前の噛みつきは本気で持っていかれそうで怖い!」

摩耶「動脈さえ守ってれば平気平気」

千世子「三吉様はかなり神経質な神の用で、秋田県内で三吉様の噂をすると必ず祟り、秋田で日本一を名乗ると必ず倒しにやってくる。伝承によれば、ある相撲取りが日本一を自称したところ、痩せた男がこの相撲取りに挑戦し、負けてしまったのだ。実はこの痩せた男の正体は三吉様であり、三吉様は負けたことを逆恨みして相撲取りを殺してしまったというのだ。」

神姫「まぁ、噛みつきも立派な攻撃だしね。」

悠「噛まれたら痛い、痛いよくない、オーケー?」

亘理『……』

サタン「……」

悠「お前らにいってるんだよ!!」

千世子「飽きた件には、藤原三吉以外にも、三吉という名前の超人の伝承が複数あるのだ。これは決して偶然ではない。そもそも秋田では、山に住む人を「山鬼(さんき)」と呼んでいたのだ。やがて山鬼は「太平山(たいへいざん)」という山に住む者だけの呼び名に変わり、ついには「三吉太権現」という神に変化したのだ。つまり三吉という名前は「山鬼」からさらなる特別なものであり、三吉という主人公が特別な活躍をするのは必然なのだ。」 
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