ー奇談ー學校へ行こう

ー教室(2/22/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

摩耶「魔法ってさ、考え方によっては微妙だよね」

悠「あー?」

摩耶「だってさ結局は才能あるか、信仰心がないとダメみたいだし」

花描「そこは努力とかで補うんじゃね?」

摩耶「結局楽な道は無いね。」

悠「そんなん無くても摩耶は十二分い、二十分に努力家だろ」

摩耶「へへ」

千世子「みんな~今日のじゅぎょーはじめるのだ」

【カバリスト】
旧約聖書に隠された秘術の探求

神姫「カバリスト聞きなれないわね…?」

千世子「ユダヤ教の思想・哲学を表す言葉に「カバラ」があるのだ。実はカバラには、魔法の秘術が隠されていたというのだ。この隠された魔術を研究していたのが「カバリスト」なのだ。」

摩耶「カバラの秘術?」

花描「カバラの秘術はモーゼ。旧約聖書に登場して、神の力で海が二つに割れたエピソードで有名なモーゼな。そのモーゼが神から授かったっていわれてるな。」

千世子「カバラの創始者はモーゼなのだ。カバリストの思想によれば、旧約聖書にはカバラの秘術がズバリ記されているというのだ。ただし、それらは巧妙に暗号化されているため、普通の方法で読んでもわからないのだ。」

摩耶「ダヴィンチコードみたいだね」

悠「おれはシャーロックホームズとかのが好きだな。」

千世子「一般に知られているとおりの「世界創造の物語」として読めるだけで、魔法の秘術はどこからも読みとれないのだ。「旧約聖書に隠された暗号をいかに解読するか?」が、カバリストたちの最大のテーマになるのだ。」

神姫「ダヴィンチコードとシャーロックホームズは違わない?」

悠「じゃあ、金田一か九十九一で」

摩耶「全体的に古いよね。特に九十九一なんで普通に解らないよ」

千世子「旧約聖書の暗号化にあたっては、主に「ノタリコン」「テムラー」「ゲマトリア」の三種類の暗号技法が用意られたというのだ。」

花描「ピエロ君の分野だろ。」

悠「いやいや、ただ、「ノタリコン」ってのは省略を利用した暗号だ。複数の単語の頭文字だけを繋げて、新しい単語を作るんだ」

摩耶「つまり?」

悠「例えばネットの掲示板で見る「縦読み」なんかはノタリコンだな。テムラーは「文字の置換」だ。」

花描「わかりやすく例えてくれ」

悠「えーと…例えば、映画の「2001年宇宙の旅」に登場した「HAL」ってコンピュータの名前は一種のテムラーになってるな。「H」「A」「L」の三文字のアルファベット順に一文字ずつずらすと「IBM」。アルファベット順でHの次はI、Aの次はB、Lの次はMだ。」

神姫「ゲマトリアは?」

悠「ゲマトリアは単…」

千世子「単語を数字に置換する方法なのだぁー!」
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