ー奇談ー學校へ行こう10

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「新しくくる住人について何か知ってる?」

亘理『ううん、さっき初めて聞いた』

悠「そうか。とりあえず、手が超冷たい。」

神姫「氷の塊取ってきましょうか?」

悠「それをどうするつもりだ!!」

神姫「しばらく握ってたら寒いの感じなくなるわよ」

【メフメト2世】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。トルコを本拠地とするイスラム国家「オスマン帝国」は、13世紀末から20世紀初頭まで続き、稀に見る繁栄を誇った国なのだ。その領土を最も広げたイスラムの英雄が、12の国と200の年を制圧し「制圧王」と呼ばれるメフメト2世なのだ。」

摩耶「感覚がなくなれば平気だね!」

悠「凍傷起こすわ!」

神姫「……」

悠「シカト?!」

亘理『悠ちゃん頑張って』

千世子「メフメト2世は、オスマン帝国6代目国王の息子として生まれ、7代目の国王として15世紀中ごろに活躍した人物なのだ。その振る舞いは名君と呼ぶにふさわしい人物だったが、どこか高圧的で尊敬よりも畏怖を抱かせる人物だったのだ。メフメト2世はめったに笑わず、本心を見せない。好奇心は強いが遊びに興味を示さなかったのだ。」

悠「摩耶、どう思う?」

摩耶「小梅ちゃんのソフトキャンディーがなかなか美味しいと思う」

悠「マジで?あれ、いつも売り切れでおれまだ食べてないんだよな」

摩耶「あるよ。はい」
スッ
悠「わーい、ガキッ!」

千世子「メフメト2世は部下に対して寛大だったが、逆らうモノ、障害となるものには容赦しなかったのだ。父親の死後に王となったメフメト2世がまず行ったのは、生後数か月の弟を殺すことだったのだ。その後に、王となるものは兄弟を殺しても良い、という法律を作ったのだ。単なる権力欲からではない。大きな帝国を混乱なく収めるためには、分裂の原因になる全欧の血筋を断つ必要が必要あったのだ。メフメト2世は思慮深さと野心、行動力と人並み外れた発想を持つ優れた王だったのだ。」

神姫「寒いときのソフトキャンディーとかって硬さが半端ないわよね」

悠「……」
ダラッ

亘理『血っ?!』

悠「ちょっと頬肉噛んだわ…」

摩耶「梅と肉味」

千世子「余談だが、イスラム教徒の王「スルタン」には、失脚した後にも働けるよう、手に職をつける習慣があったのだ。メフメト2世は庭師や小物作りが得意だったというのだ。」

悠「あ、確かに旨い、ちょっと鉄っぽい味だけど」

神姫「多分それ血の味よ」

悠「多分じゃないよね。」

亘理『……痛くないの?』

千世子「メフメト2世は、東ローマ帝国の首都「コスタンティノーブル(現在のイスタンブール)」のほか、キリスト教徒の土地を多く征服したことで知られているのだ。ではメフメト2世はキリスト教の敵だったかというと、むしろ逆だったのだ。メフメト2世の統治はキリスト教徒にも配慮したもので、昔の国より住みやすくなったと言うキリスト教徒もいたほどなのだ。メフメト2世は幼いころからイタリアの知識人に囲まれて育ったため、キリスト教やヨーロッパへの深い理解を持っていたのだ。」

悠「もちろん痛いYO」

雨「なんでラップ調……」

摩耶「みんなも食べる?美味しいYO」

亘理『摩耶君も?!』

神姫「何してるんだか…」

千世子「メフメト2世の政策は、十字軍以来の伝統だったのだ。キリスト教とイスラム教の宗教対立を和らげたのだ。これ以降戦争は、髪の意思によってではなく、国家間の利害の対立を解決する手段として行われるものなのだ、という考えが広まっていくのだ。以上、メフメト2世のじゅぎょーだったのだ。」
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