ー奇談ー學校へ行こう10

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「菜の花が出回ってきてるな」

千世子「あの黄色い花なのだ?」

悠「そうそう、あれほろ苦くて旨いんだよ」

摩耶「悠君ああいうの好きだよね。ふきのとうとか」

悠「ほろ苦いのサイコー」

【サラディン】

千世子「じゅぎょーしますのだ。中東の国イスラエルの首都である「エルサレム」。ここは「ユダヤ教」「キリスト教」「イスラム教」という3つの宗教が聖地としており、争いが絶えない地域だったのだ。」

神姫「好みが渋いのよね。」

悠「タラの目とかも好きだ」

亘理『オッケー覚えとく』

悠「亘理は台所に立たない方がいい」

亘理『なんでさー!!』

千世子「サラディンは、当時エルサレムを支配していたキリスト教を破り、エルサレムの支配権をイスラム教の物にした、イスラム教の歴史を代表する英雄なのだ。彼がエルサレムを奪還したのは1187年、日本では鎌倉幕府が成立する少し前の出来事なのだ。」

悠「危険が危ない」

摩耶「実績カレー……のようなもの」

亘理『あ、アレはたまたま!』

神姫「……いっそ料理じゃなくて薬品を作ろうとしてみたら料理になるんじゃない?」

亘理『ええっ?!』

千世子「敬虔なイスラム教徒であったサラディンは、貧しいものへの施しを惜しまない、無欲な人物だったのだ。質素な食事を好み、服も絹のような高級なものは着ず、麻、木綿、羊毛の服だけを身につけたというのだ。またかれはぶかのしっぱいにもかんだいで、風呂に入っていたサラディンに召使が間違って水をかけてしまったときも、ジョークを言うだけで罰を与えるようなことはなかったのだ。」

摩耶「逆転の発想だね」

悠「なるほど……そういうのもあるのか」

神姫「何ができても悠が食べればいいし」

悠「おれ、毒は効きにくい体質だけどお腹は割と壊れやすいんだよね……」

亘理『毒いうな!』

千世子「サラディンは中東の国「イラク」の北部、炊くリートという都市の王族に生まれるのだ。15歳の時「ヌール・アッディーン」という権力者に仕え、彼のお気に入りとして可愛がられるようになったのだ。サラディンはそこで学問や乗馬、チェス、狩り酒や女好き合いに至るまで、様々なことに生を出したというのだ。」

摩耶「でも、人間防腐剤とか着色料で少なからず毒は食べてるし」

亘理『毒前提で話すのやめない?』

悠「そのせいで最近は人間の死体が腐りにくくなってるんだってな」

摩耶「ホリーなック」

悠「ぶっちゃけマルだしモロだしのへそを舐めたい」

千世子「やがて軍人として頭角をあらわしたサラディンは、冬至エジプト周辺を支配していた王朝「ファーティマ朝』を責め、新しく自分の王朝「アイユーブ朝」を創設。更に領土を拡大し、仕えていたユール・アッディーンが死去すると、彼が収めていた地域も自分の領土としたのだ。」

神姫「硫酸とか舐めてみたら?」

悠「舌溶けちゃう」

摩耶「五枚くらいあるでしょ?」

亘理『五枚舌?!』

悠「せいぜい二枚だよ」

千世子「地盤を固めたサラディンは、ついにイスラム教の悲願であった聖地エルサレムを奪還するために軍を起こすのだ。1187年7月、イスラエル北部で行われた『ハッヒティーンの戦い』で大勝したサラディンは、ついにエルサレムの奪還に成功したのだ。」

悠「でも、舌が二枚あったらソフトクリームLのミックスをバニラとイチゴ両方堪能できるな」

摩耶「普通はバニラとチョコだけどね」

神姫「でもあれ、ロールされてるから普通に味混ざるのよね。」

悠「サイズの小さいのを二つ買うのが安定」

亘理『どっちにしろ二つも食べたらお腹壊しそう』

千世子「1967年に怒った「第三次中東戦争』以降、聖地エルサレムはユダヤ教徒が統治しているのだ。しかしイスラム教徒の多くは、今でも第2のサラディンが現れ、エルサレムをイスラム教の手に取り戻してくれると信じているのだ。イラクの元大統領「サダム・フセイン」は、自らをたびたび「サラディンの生まれ変わり」だと称していたが、これはサラディンの再来を待ち望むイスラム教徒の心情に訴えるためだったと考えられるのだ。今日はここまでで続きは次回なのだ。」
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