ー奇談ー學校へ行こう10

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

摩耶「なんかコーヒーのいい匂い」

悠「悪魔がおいてったコーヒー豆あるぞ」

摩耶「THE不安」

神姫「間違いではないわね。」

悠「まぁ、その反応が正解だしな」

【ハーリド・イヴン・アル・ワリード】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。世界三大宗教であるキリスト教、仏教、イスラム教の中で、イスラム教は7世紀前半、日本で聖徳太子が仏教普及に奮闘していた時期に生まれた新しい宗教なのだ。新興のイスラム教の勢力拡大に大いに貢献したのが、ハーリド・イヴン・アル・ワリードという騎兵隊長なのだ。ハーリドは「アッラーの剣」の異名を持ち、イスラム教徒がその領土を中東全体に広げる原動力となった英雄なのだ。」

悠「ハリード?」

亘理『ハーリド』

悠「ハリードのモデルだろうな」

摩耶「カムさん」

神姫「グッドエンディングのためには最強武器とるとダメという謎仕様」

千世子「ハーリドが歴史の舞台に現れるのは、西暦625年、イスラム教の創始者である「ムハンマド」が、敵対する都市メッカの部族と戦った「ウフドの戦い」なのだ。この戦いでハーリドは騎兵隊を指揮し、ムハンマドに手傷を負わせると言う功績をあげているのだ。その後戦いでメッカに敗れると、ハーリドはムハンマドに降伏してイスラム教に改宗したのだ。ムハンマドはハーリドの回収を非常に喜んだというのだ。」

悠「逆なら分かるんだけどな。カムシーンとらないとバッドってのなら」

摩耶「そのせいでドラゴンルーラー黒の空気っぷり」

悠「ハリード主人公じゃないと戦えないしな」

神姫「逆に白ルーラーの人気っぷり」

悠「弱い、固定、氷の剣(盾)、スマウグの特典付き」

千世子「その後ハーリドは指揮官として数々の武功をあげ、ムハンマドから『サイフッラ(アッラーの剣)』という称号を授かるのだ。ムハンマドの死後も活躍が続き「ヤムルークの戦い」で最高潮を迎えるのだ。ハーリドの敵は、装備でも練度でもアラブを上回る「ビザンチン帝国」。しかもハーリドの兵士は敵の半分だったのだ。ところがハーリドは、砂嵐に乗じて突撃するという常識外れの戦術で、敵を完全に壊滅させるのだ。数メートル先も見えない砂嵐の中で攻めてくる敵がいるとは、敵側のだれも予想できなかったのだ。この被害によってビザンチン帝国は中東地域から完全に撤退し、中東地域はイスラム教徒のモノになったのだ。」

亘理『剣(盾)?』

悠「氷の剣は武器じゃない。防具だ」

摩耶「フリーズバリア機能以外に冷気なんかの冷属性の攻撃を無効にできるんだよ」

悠「もちろん武器としても優秀だけどメイン盾になる」

神姫「魔王の盾と併用したらフリバリ効果が消えるから注意だけどね」

千世子「ハーリドはアラブ二代目の王「ウマル」と不仲だったのだ。ヤムルークで大勝利をおさめた直後、ウマル王は『ウソの報告をした』という名目でハーリドを指揮官から解任するのだ。ハーリドは失意のまま5年後になくなったのだ。」

悠「……ロマサガしたくなってきた」

摩耶「ほぼ病気」

悠「へへっ」

亘理『笑うところ?!』

神姫「病気だからね」

千世子「イスラム教徒になった後30以上の戦いを全勝した天才指揮官ハーリドは、イスラム教徒の偉大な英雄となるべきだが、実際にはさほど支持を得られていないのだ。ハーリドの実績には改ざんされた形跡があり、ハーリドの人物ひょかが困難なことがその一因となっているのだ。以上、ハーリド・イブン・アル・ワリードのじゅぎょーだったのだ。」
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