ー奇談ー學校へ行こう10

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「温まりたい」

摩耶「いい手がある。」

悠「どうぞ」

摩耶「焼けた石を握る」

悠「やけどしちゃうよねー?」

摩耶「そこは気合いで」

悠「無理☆」

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。ユダヤ教では、モーセのように神の声を聞き信者を導く人々は「予言者」と呼ばれるのだ。その中でもモーセは特別重要な存在なのだ。なぜなら無数にいる予言者の中で、神が自分の名前を明かしたのはモーセだけだからなのだ。」

神姫「焼けた鉄を巻くっていうのは?」

悠「拷問ダメ絶対」

摩耶「同意をえていたら拷問じゃないってことで」

悠「同意しません!」

神姫「じゃあ、逆にどうされたいのよ」

千世子「モーセが伝えた紙のメッセージの中で最も重要なのは、映画のタイトルにもなった「十戒」なのだ。これは神がユダヤ人に与えた10の戒律で、石板の形でモーセにもたらされたのだ。この十戒は、ユダヤ教のみならず、ユダヤ教から派生したキリスト教、イスラム教においても、今なお重要な戒律と考えられているのだ。」

悠「愛で包まれたい」

「「「『チッ』」」」

悠「すっげぇ音の揃った舌打ち」

摩耶「これもひとつの愛」

悠「なら、包まれたんだな」

千世子「また、モーセは神の力によってさまざまな奇跡を起こしているのだ。海を割ってユダヤ人を逃がすという大がかりなもののほかにも、木の枝を蛇に変える、川の水を血液に変える、手を一瞬で皮膚病にし、すぐ治すなど奇跡を見せているのだ。」

亘理『悠ちゃんは愛であふれてるでしょ!』

悠「……そーかなぁ」

亘理『ガブッ』

悠「ひぎぃっ!」

摩耶「まぁ、悠くんが悪いかな」

千世子「ユダヤ教乗せて印である「旧約聖書」は、ユダヤ教に関する数十冊の書物に対する総称なのだ。実はその中に、モーセが書いたといわれるものが五冊含まれているのだ。世界の始まりを描いた「創世記」に『出エジプト記』、「レビ記」「民数記」「申命記」の4つを加えた5冊は「モーセ五書」と呼ばれ、旧約聖書の中で最も重要な5冊だといわれているのだ。」

神姫「わざといってるとしか思えない」

摩耶「まぁ、楽しんでる節はあると思う」

亘理『ガジガジ』
悠「痛い痛い。ホントに痛い!」

雨「喰いちぎられたらいい」

花子『確かに』

千世子「しかし現在では、「モーセ五書」はモーセが書いたものではないと考えられているのだ。「モーセ五書」はそれぞれ書かれた年代が違い、一番古い部分が紀元前10世紀ごろ、新しい部分は紀元前6世紀ごろに書かれたものだとされているのだ。モーセは紀元前13から14世紀ごろの人物だといい、120歳の長寿だったが、さすがに紀元前10世紀の時点ではなくなっているのだ。墓の中でモーセが五書を書くことは不可能なのだ。以上、モーセのじゅぎょーだったのだ。」
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