ー奇談ー學校へ行こう10

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「適度に体が温まってきた」

亘理『ホットコーヒー三本とかカフェイン取りすぎじゃない?』

悠「大丈夫だ。カフェインくらいフヒヒ」

花子『ラリってんじゃん』

神姫「いつも通りよ」

摩耶「そうだね」

悠「あれ?!」

【モーセ】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。モーセといえば、映画などでおなじみの「海が割れて、道ができそこを人々が通る」シーンで世界的に有名な人物なのだ。この映画の影響からか、モーセはユダヤ教の神官のような存在とみられることが多いが、実際はそれに加えてユダヤ人の軍隊を指揮して敵国を倒した軍事的英雄でもあるのだ。」

悠「いつも通りとかいわれちゃった」

恋「日ごろの行いの悪さからじゃろ」

悠「だから「モドキ」っていわれるんだぞ?」

恋「恋の話ではない!!」

悠「え?」

摩耶「ドンマイ」

恋「いや、普通に励ますのもやめい」

千世子「絵画や彫刻などで、モーセは長いひげを生やした人物として描かれているのだ。また、額から日本の角を生やした姿でも描かれるのだ。ただし実際にモーセに角が生えていたわけではないらしいのだ。これは聖書を翻訳するとき「輝き(qara)」という単語を「角(qeren)」という単語に誤訳したことから生まれた誤解だという説が有力なのだ。」

亘理『海割るってキリストじゃないの?』

摩耶「割るのはモーセとダレン・モーランだよ」

神姫「後者は砂海だけどね」

悠「ダレンとかラオとかめんどくさくてたまらんわ」

摩耶「ヘヴィボウガンを撃ち続けるだけのお仕事じゃん」

悠「それにしても長いし」

千世子「モーセの活躍については、ユダヤ教の京店「旧約聖書』に詳しく書かれて居るのだ。モーセが生まれた頃、エジプトでは多くのユダヤ人が奴隷として暮らしていたのだ。エジプトの王はユダヤ人に重労働をさせたり、ユダヤ人の赤ん坊を殺して彼らを虐待していたのだ。そこでモーセは神のお告げを聞き、ユダヤ人を神が指示した地「カナン(現在のイスラエル布巾)」へと脱出させたのだ。」

亘理『超巨大系はボウガンの良い的だよね』

悠「中型以外は大抵ヘヴィで囲んだらハチの巣だ」

恋「えげつない」

神姫「悠だからね」

摩耶「悠くんだし」

悠「ふぁっ?!」

千世子「モーセとユダヤ人は無事エジプトを脱出。カナンに入ることこそできなかったが、その近くまで数百キロメートルの距離を、ユダヤ人と共に徒歩で移動したのだ。また、海を割ってエジプトを脱出して、指揮官として移動した先の民族と何度も戦い、ことごとく勝利してユダヤ人の居場所を確保しているのだ。」

悠「癒し系のおれがえげつないとか……」

恋「いやらし系じゃろ」

摩耶「嫌死系」

神姫「それね」

悠「じゃないよ!!」

千世子「宗教指導者という立場や映画でのイメージから、モーセは雄弁で堂々とした人物だったというイメージが強いのだ。しかし「旧約聖書」によれば、本来のモーセは口下手で謙虚な人物だったようなのだ。モーセは神からエジプト脱出を命令された時、何かと理由をつけては「自分には二が重い』と断り、実際に行動を開始した後も、人々を説得するのは兄であるアロンの役目だったのだ。モーセは旅の中で経験を積み、我々が良く知る雄弁なモーセへと成長していったのだ。今日はここまでで続きは次回なのだ。」
60/100ページ
スキ