ー奇談ー學校へ行こう10

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「袴をはいた女子ってエロくないかな。いや、エロい!」

摩耶「着物じゃなくて?」

悠「袴」

千世子「サムライガールなのだ」

悠「ん?サムライガール、袴でエロイ…………あ、逢岡さんだ!」

摩耶「本人が聞いてたら刺してるだろうね。」

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。前回の続きからで、ドイツで生まれたジークフリートの物語は、ヨーロッパ北部のスカンジナヴィア半島など「北欧」地域にも伝わり、独自の発展、変化していったのだ。」

悠「まぁでも、エロい格好ていうのは中身ありきの話だよな」

雨「阿保なの?……阿保なの?」

悠「二回いわれた」

神姫「まぁ、一理あるわね」

亘理『マジ?!神姫さんが認めた!!』

神姫「鳳さんはなに着ても基本エロい恰好になるし」

悠「カリスマ痴女みたいなもんだもんな」

千世子「北欧に入ったジークフリートは「シグルズ」という名前になったのだ。二人の物語には名前以外にも違うところが多くあるが、名剣「グラム」を手に『ファフニール』という竜を退治して財宝を得た点、竜の血液で特殊な能力を得た点は非常によく似ているのだ。ただしシグルズの能力は「無敵の皮膚」という派手なものではなく、鳥の声が理解できるというささやかなものなのだ。また性格の方は、ドイツのジークフリートのような粗暴さはなく、教養があり誇り高い騎士として描かれているのだ。」

亘理『何それ怖い』

摩耶「実は私は」

悠「ロシアン回が好き」

神姫「悪魔と宇宙人ならいるわね」

悠「うちの周りに居るのはどっちもおっさんなんだが……」

摩耶「性別のこと言いだしたらねぇ」

千世子「シグルズの物語の最大の特徴は、物語の中に北欧ならではの神話や伝承の要素がふんだんに盛り込まれている事なのだ。たとえばシグルズはただの人間ではなく、北欧神話の最高神「オーディン」の子孫ということになっているのだ。愛馬もオーディンの愛馬『スレイプニル』の孫だし、ドイツで「勇敢な女王』と設定されていた女性「ブリュンヒルト」は、女性の魂を天上へ運ぶ神の使い「ヴァルキューレ」の一員ということになっているのだ。」

悠「どうにかラヴクラフトとニャル子をチェンジできないだろうか」

摩耶「チェンジしたとしてもどっちも行き帰り自由そうだけどね」

神姫「クラフトさんて普段何してるの?」

悠「最近は光合成してるな」

神姫「ふうん」

亘理『受け入れた?!』

摩耶「まぁ、あの人(生物)なら日向ぼっこより光合成の方が合ってる気がする。」

千世子「北欧に伝わる英雄物語は悲劇的なもの、特に「悲恋の末の死」という結末を迎えるものが多いのだ。シグルズの物語も、愛し合っていたシグルズとブリュンヒルドが、シグルズを思う女性によって仲を引き裂かれるという結末になっているのだ。以上、ジークフリート&シグルズのじゅぎょーだったのだ。」
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