ー奇談ー學校へ行こう

ー教室(2/18/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「んっ…はぁ…」

摩耶「肩凝ってる?」

悠「割りとな」

花描「年寄りっぽいな」

悠「その台詞は熨斗つけて花描君に送り返すよ。花描おじいちゃん」

花描「ははは~」

悠「なんで笑ってる」

千世子「なんでおじいちゃん?」

悠「花描君は若作りなんだよ」

神姫「悠は年寄り臭いけどね。」

摩耶「中身おっさんだからね」

悠「ほっとけ」

千世子「よくわからないけど…今日のじゅぎょーはこれなのだ」

【セージ】
博識だけど回復専門職?


摩耶「セージ…あんまり聞かないね?」

千世子「セージは日本語に訳すと「賢者」になるのだ。つまり、本来はウィザードとほぼ同じ意味になるのだ。けど、より厳密に解釈すれば、ウィザードが確実に「魔術師」であるのに対し、セージは「魔法が使えるとは限らず、単に博識な一般人かもしれない」という含みがあるのだ。」

摩耶「知恵はあるけど魔力が無いみたいな…」

悠「なんでおれを見た?」
摩耶「なんとなくかな」

千世子「それにも関わらず、ファンタジーやゲームの世界では、セージは魔法使いの一種と扱われてきたのだ。この理由は「ウィザード」という言葉の意味が広がりすぎたためだと考えられているのだ。特にゲームの世界では、ウィザードが魔法使い全般を表すようになってしまったため、「知性の高い魔法使い」を表す職業が失われてしまったのだ。そこで、本来ウィザードがもっていた「高い知性を持つ」という特徴を明確に備えた「セージ」を登場させる必要があったのだ」

花描「魔法使いは魔法も使える頭がいいの、セージはとりあえず頭がいいのってのでいいのか?」

千世子「中途半端に賢いだけではダメなのだ。「ものすごく頭がよくて博識な人に違いない」という、一般人の期待に応える必要があるのだ。」

悠「あ、おれは無理だ。」

神姫「博識な人ってくだりで無理でしょ」

千世子「例えばクリスチャン・ローゼンクロイツというドイツ人は、アラブのセージから自然魔術の奥義を全て記した書物を授けられたというのだ。このセージがいったい誰だったのか、現在では知られていないのだ。けど、ローゼンクロイツが持ち帰った書物には、錬金術からカバラまであらゆる魔法の秘術が網羅されていたというから、やっぱり「セージ」と呼ばれるに値する人物だったことは確かなのだ。」

悠「錬金術か…」

摩耶「鋼の?」

悠「やっぱりそれだよな」

千世子「セージは多くの場合、男性の老人として描かれるのだ。これはウィザードなどの知性の高い魔法使いのイメージに共通するのだ。」

悠「ちなみに、イースリースタッフ社のゲーム「ブリガンダイン」だと、珍しくセージが女性専用職なんだぞ」
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