ー奇談ー學校へ行こう10

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「寒…」

摩耶「はい、お湯」

悠「まさかのお湯…」

摩耶「お湯」

亘理『薬でも飲むの?』

神姫「頭のやつね」

【ベオウルフ】

千世子「はーい、じゅぎょーしますなのだ。アーサー王やロビンフットなど、イギリスには多くの英雄伝説が残っているのだ。ベオウルフはその中でも最古の英雄の一人なのだ。だが厳密に言うとベオウルフはイギリスの英雄とは言えないのだ。」

悠「お薬は毎日飲んでるよ虹色の奴」

亘理『間違いなく毒か異物』

悠「ずずっ……」

摩耶「どう?」

悠「至ってお湯です」

千世子「ベオウルフは、イギリスから海を挟んで東にある「スカンジナヴィア半島」にある国「スウェーデン」の王族なのだ。彼はイギリスではなく北欧の英雄なのだ。」

雨「まぁ、お湯でしょうね」

悠「あ、そうだ。蜘蛛っ娘」

雨「その言い方やめないと刺すわよ」

悠「蜘蛛族はみんなそうなのか?」

雨「どういう意味よ?」

千世子「金髪で背が高く、たくましい身体をしていたベオウルフは並ぶ者が居ないほどの怪力を誇る勇敢な戦士だったのだ。またベオウルフは義理人情に篤い人物でもあったのだ。スウェーデンの南西にある国「デネ(デンマーク)の王が「グレンデル」という怪物に悩まされていた時、ベオウルフはグレンデルを討伐するためにわざわざ海を渡って、一騎討ちでグレンデルを倒したのだ。」

悠「あやかし屋にいる絡新婦もやたらキレるんだ」

亘理『絡新婦……女?』

神姫「でしょうね。」

摩耶「だろうね」

亘理『ガルルッ!』

千世子「英雄には一つの戦いだけで有名になったり、闘い続けて早死にするものが多いがベオウルフは老いてなお盛んだった点が多くの英雄と異なるのだ。ベオウルフは老人になった後、自分の国を襲ったドラゴンにひとり立ち向かい、相打ちになっているのだ。年老いたあとも、ベオウルフは魔王退治の英雄であり続けたのだ。」

雨「十中八九、アンタが原因」

悠「そんなはずはない。」

雨「言い切ってる時点でお前が原因」

亘理『ガルルル』

悠「えー……ってか、亘理さん、怖いです」

千世子「ベオウルフの物語は、8~9世紀ごろにまとめられたという英雄物語「ベーオウルフ」にかかれているのだ。この物語は英雄ベイオウルフの一生を描いた作品で、前半部と後半部に分かれているのだ。前半部は若きベオウルフが巨人と戦う「グレンデル母子退治」、後半は年老いたベオウルフの「竜との戦い」の物語なのだ。」

神姫「ところで、そのお湯どうしたの?」

摩耶「白湯って温まるでしょ?冥ちゃんにもらったんだけど、神姫さんも飲む?」

神姫「……味付きがいいわね。」

摩耶「まぁ、そうだよね。ズズッ」

神姫「そういいながら飲むのね…。」

千世子「「ベーオウルフ」は、イギリスの歴史、文化資料が極端に少ない時代に書かれた本なので、古い時代の英語を研究する資料として重要だったのだ。しかし文学先品としての評価は低く、学者以外の一般人にはほとんど知られていなかったのだ。」

亘理『ガジガジッ』

悠「頭にスケアリーモンスターが……」

摩耶「恐竜化スタンド」

神姫「わりとアレ好きだわ」

悠「恐「竜」だけに?」

神姫「……」

悠「ペットショップより鋭い眼光です……」

千世子「ベオウルフを有名にしたのは、小説「指輪物語」で有名なイギリス作家「J.R.Rトールキン」なのだ。有名人トールキンが「ベーオウルフ」の文学性を高く評価したため、デンマーク人がイギリスの英雄になるという奇妙な現象が起きたのだ。以上、ベオウルフのじゅぎょーだったのだ。」
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