ー奇談ー學校へ行こう10
ー教室ー
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。
悠「はぁはぁ……やばかった……。」
摩耶「いやー、冗談で書いた刈り取るものが実体召喚されるとかね。」
神姫「あの野郎……いきなり刹那五月雨撃ふぶっぱなしてきたわね。」
雨「全部回避してたじゃない…」
千世子「直撃して生きてるあんちんも大概なのだ」
悠「神姫の龍剄気功よりは痛くなかったぞ」
【エル・シッド】
千世子「はーい、じゃあ、疲労困憊だけどじゅぎょーしますなのだ。スペインは711年にイスラム教徒の侵攻を受け、300年以上もその支配下にあったのだ。その支配を打ち破り、国を取り戻すために立ち上がったのがろどりーご・ディアス・デ・ビバール。のちの英雄エル・シッドなのだ。」
悠「ぴよこも中々タフだな」
摩耶「だね。っていうか、さっきアリスちゃんが鎖の音にイラッとしてメギドラオンで消し炭にしなくても勝てたかもね。」
悠「かもな」
亘理『あと文字でも召喚できるんだね。』
悠「この召喚書、メフィストのおっさんが言ってたよりヤバい代物な気がしてきた」
神姫「その本、燃やさない?」
千世子「エル・シッドは王の怒りを買って追放されたが、王への忠誠心を忘れず、イスラム教徒から奪った財宝を王に献上したのだ。更にキリスト教への信仰心も厚く、常に神に祈り、天使を見ることさえあったというのだ。人々はそんなエル・シッドを国土回復運動(レコンキスタ)の英雄、キリスト教用語の英雄として支持したのだ……。」
悠「いや、ゆうなにあげる」
亘理『この惨劇を目の当たりにしても?!』
悠「いやー、大丈夫だって、うん」
チシャ猫『して本音は?』
悠「ペット欲しがってるし」
亘理『ペットに食われるよ?!』
千世子「というのが、シッドの死から約100年後にかかれた英雄物語「和菓子度の歌」にある人物像なのだ。フィクションだから実在の人物より誇張されていて、本物はもっと地味……と思いきや、実在のシッドは物語以上に強烈な人物だったらしいのだ。」
摩耶「まぁ、デモンとゆえちゃんが居ればそこは大丈夫かな」
悠「後楽を囮にしてもいいし、最悪ラヴクラフトというコズミックモンスターもいる」
神姫「家がなくなるわよ」
悠「あ、それは困る」
摩耶「いっそ家全体を改造するとか」
千世子「シッドが国王に追放されたのは事実なのだ。しかしシッドはついてきた家来を養うため、イスラム教徒の傭兵として、イスラム教内部の敵勢力や、時にはキリスト教徒の軍隊とも戦ったのだ。さらに財宝を得るために約束を破るのは当たり前、教会にさえ略奪に入る強欲で残虐非道な武将であったといわれているのだ。」
悠「ふむ、隣の空き家を潰して…」
亘理『何回か聞くけどひと住んでるんだよね?お隣さん』
悠「大丈夫だ問題ない」
神姫「ものすごい悪い顔してるわよ」
摩耶「いつもだよ」
千世子「しかしその強さは本物で、イスラム教徒からは偉大な人物をあらわす「エルサイード」と呼ばれたのだ。そして変形して「エル・シッド」というあだ名になったのだ。」
神姫「それもそうね」
悠「もしもし?!」
亘理『心配だなぁ』
摩耶「問題ないと思うよ」
亘理『どうして?』
千世子「晩年は王との関係も修復し、キリスト教側に復帰。一城の主として贅沢な生活を送ったのだ。シッドは波乱万丈の人生を駆け抜け、地位と富を掴み取ったのだ。」
摩耶「悠君は適当だけど、ゆうなちゃん達は賢いから危ないことはしないだろうし」
悠「適当といわれた」
神姫「適当でしょ」
悠「へへっ」
雨「褒められてないわよ」
モノリス【⦅ほめられていませんね。⦆】
悠「あ、モノリス……お前移動できないんじゃなかったのか?」
モノリス【⦅いどうはできません。ですがまきこまれないようにひょうめんをかぎりなくくりあーにしてかくれていました。⦆】
摩耶「見えなくなるだけで当たってたら惨事だったんじゃない?」
モノリス【⦅はい⦆】
亘理『正直だ』
千世子「エルシッドは戦死し、死後も活躍したという伝説があるのだ。家族が遺体に化粧をして馬にのせ、シッドがまだ生きているように見せかけて兵士たちの指揮を保ったという内容で、もちろん事実ではなく後世の作り話なのだ。そのほかにもシッドの逸話は無数にあるのだ。シッドの遺体をまつった修道院で遺体がひとりでに動いて盗賊を撃退した、埋葬した遺体を掘り返したら、かぐわしい香りとともに雨が降りだし、水不足から民衆を救った、などなど。最終的にシッドはキリスト教の聖人としてまつられ、イスラム教に味方していた事実はどこかに忘れられてしまったのだ。以上、エル・シッドのじゅぎょーだったのだ。」
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。
悠「はぁはぁ……やばかった……。」
摩耶「いやー、冗談で書いた刈り取るものが実体召喚されるとかね。」
神姫「あの野郎……いきなり刹那五月雨撃ふぶっぱなしてきたわね。」
雨「全部回避してたじゃない…」
千世子「直撃して生きてるあんちんも大概なのだ」
悠「神姫の龍剄気功よりは痛くなかったぞ」
【エル・シッド】
千世子「はーい、じゃあ、疲労困憊だけどじゅぎょーしますなのだ。スペインは711年にイスラム教徒の侵攻を受け、300年以上もその支配下にあったのだ。その支配を打ち破り、国を取り戻すために立ち上がったのがろどりーご・ディアス・デ・ビバール。のちの英雄エル・シッドなのだ。」
悠「ぴよこも中々タフだな」
摩耶「だね。っていうか、さっきアリスちゃんが鎖の音にイラッとしてメギドラオンで消し炭にしなくても勝てたかもね。」
悠「かもな」
亘理『あと文字でも召喚できるんだね。』
悠「この召喚書、メフィストのおっさんが言ってたよりヤバい代物な気がしてきた」
神姫「その本、燃やさない?」
千世子「エル・シッドは王の怒りを買って追放されたが、王への忠誠心を忘れず、イスラム教徒から奪った財宝を王に献上したのだ。更にキリスト教への信仰心も厚く、常に神に祈り、天使を見ることさえあったというのだ。人々はそんなエル・シッドを国土回復運動(レコンキスタ)の英雄、キリスト教用語の英雄として支持したのだ……。」
悠「いや、ゆうなにあげる」
亘理『この惨劇を目の当たりにしても?!』
悠「いやー、大丈夫だって、うん」
チシャ猫『して本音は?』
悠「ペット欲しがってるし」
亘理『ペットに食われるよ?!』
千世子「というのが、シッドの死から約100年後にかかれた英雄物語「和菓子度の歌」にある人物像なのだ。フィクションだから実在の人物より誇張されていて、本物はもっと地味……と思いきや、実在のシッドは物語以上に強烈な人物だったらしいのだ。」
摩耶「まぁ、デモンとゆえちゃんが居ればそこは大丈夫かな」
悠「後楽を囮にしてもいいし、最悪ラヴクラフトというコズミックモンスターもいる」
神姫「家がなくなるわよ」
悠「あ、それは困る」
摩耶「いっそ家全体を改造するとか」
千世子「シッドが国王に追放されたのは事実なのだ。しかしシッドはついてきた家来を養うため、イスラム教徒の傭兵として、イスラム教内部の敵勢力や、時にはキリスト教徒の軍隊とも戦ったのだ。さらに財宝を得るために約束を破るのは当たり前、教会にさえ略奪に入る強欲で残虐非道な武将であったといわれているのだ。」
悠「ふむ、隣の空き家を潰して…」
亘理『何回か聞くけどひと住んでるんだよね?お隣さん』
悠「大丈夫だ問題ない」
神姫「ものすごい悪い顔してるわよ」
摩耶「いつもだよ」
千世子「しかしその強さは本物で、イスラム教徒からは偉大な人物をあらわす「エルサイード」と呼ばれたのだ。そして変形して「エル・シッド」というあだ名になったのだ。」
神姫「それもそうね」
悠「もしもし?!」
亘理『心配だなぁ』
摩耶「問題ないと思うよ」
亘理『どうして?』
千世子「晩年は王との関係も修復し、キリスト教側に復帰。一城の主として贅沢な生活を送ったのだ。シッドは波乱万丈の人生を駆け抜け、地位と富を掴み取ったのだ。」
摩耶「悠君は適当だけど、ゆうなちゃん達は賢いから危ないことはしないだろうし」
悠「適当といわれた」
神姫「適当でしょ」
悠「へへっ」
雨「褒められてないわよ」
モノリス【⦅ほめられていませんね。⦆】
悠「あ、モノリス……お前移動できないんじゃなかったのか?」
モノリス【⦅いどうはできません。ですがまきこまれないようにひょうめんをかぎりなくくりあーにしてかくれていました。⦆】
摩耶「見えなくなるだけで当たってたら惨事だったんじゃない?」
モノリス【⦅はい⦆】
亘理『正直だ』
千世子「エルシッドは戦死し、死後も活躍したという伝説があるのだ。家族が遺体に化粧をして馬にのせ、シッドがまだ生きているように見せかけて兵士たちの指揮を保ったという内容で、もちろん事実ではなく後世の作り話なのだ。そのほかにもシッドの逸話は無数にあるのだ。シッドの遺体をまつった修道院で遺体がひとりでに動いて盗賊を撃退した、埋葬した遺体を掘り返したら、かぐわしい香りとともに雨が降りだし、水不足から民衆を救った、などなど。最終的にシッドはキリスト教の聖人としてまつられ、イスラム教に味方していた事実はどこかに忘れられてしまったのだ。以上、エル・シッドのじゅぎょーだったのだ。」