ー奇談ー學校へ行こう10

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

小型悪魔『ギィギィ!』

メフィスト「はぁーようやく終わりまシた……」

悠「レッドアリーマーの小型版みたいなのが飛び交ってるけど?」

メフィスト「害はないので蝙蝠とデも思ってくださいデース」

悠「良いならいいんだけど、よいしょ」
ストッ
モノリス【⦅はこんでくれてありがとう⦆】

悠「いえいえ」

メフィスト「何をシてるんデスか?!」

悠「いや、このモノリス(勝手に命名)足がないから動けないと思って運んだんだ」

メフィスト「じゃなくて……全部魔界送還したと思ったのにマだ残ってるじゃないデスか……」

悠「ただの板なんだし気にするなよ」

【ダルタニャン】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。ダルタニャンはフランス小説家「アレクサンドル・デュマ」の作品「ダルタニャン物語」の主人公なのだ。日本でも有名な「三銃士」は「ダルタニャン物語」の第一部で、銃士を目指す青年ダルタニャンが、銃士隊のアトス、ポルトス、アラミスのいわゆる『三銃士』と共に、17世紀フランスを舞台に冒険する物語なのだ。」

メフィスト「貴方、そこそこ上位級の悪魔デスね」

モノリス【⦅いえいえ、めふぃすとれすさまにくらべたらただのいたきれでございます⦆】

亘理『でも、悠ちゃんアレどうするの?』

悠「黒板の横に置いといたらいいだろ」

モノリス【⦅いいですよ⦆】

摩耶「軽く黒板扱いを受け入れたね」

千世子「ダルタニャンは、フランスの辺境ガスコーニュ地方出身の若者なのだ。正義感だが血の気の多いのが玉に傷。持ち前の俊敏さで国内屈指の剣士と渡り合い、それがもとで国王に面会を許されるのだ。こうして銃士見習いとなったダルタニャンは、無謀ともいえる勇敢さを武器に、フランス王家を揺るがす陰謀に立ち向かうのだ。」

メフィスト「言っときますが契約はしないデスよ?」

モノリス【⦅はい、あきたらかってにまかいにかえりますので、きにしないでください⦆】

神姫「自力で帰れるのね」

亘理『ちなみにモノリスさんは何ができる悪魔なの?』

モノリス【⦅ちしきをあたえれます⦆】

千世子「日本で一般的に知られているのは物語の第一部「三銃士」の部分だけなのだ。「ダルタニャン物語」はこのあとも、銃士副隊長となったダルタニャンを描く「二十年後」、さらに10年が過ぎ、ついに銃士隊長となったダルタニャンや三銃士たちの晩年を描く「ブラジュロンヌ子爵」へと続いていくのだ。」

摩耶「賢くしてくれるの?」

モノリス【⦅けいやくしていただければそれもできますが、いまのじょうたいだとじしょがわりていどでしょうか⦆】

悠「辞書?」

モノリス【⦅なにかきいてくれればそのいみをこたえます⦆】

神姫「ああ、まさに辞書ね」

千世子「一般的にダルタニャンは架空の登場人物と思われているが、実はダルタニャンは実在した人物なのだ。しかも小説と同様、銃士隊の隊長に上り詰めた重要人物なのだ。本名はシャルル・ドゥ・バツ・カステルモール、偽名をシャルル・ダルタニャンといったのだ。デュマ銃士隊の部下が書いた回顧録などを基にしたフィクションとして「ダルタニャン物語」を書きあげたのだ。」

摩耶「大きいし皆で見えて便利(?)だね」

神姫「便利(?)ね」

亘理『便利かなぁ』

モノリス【⦅いみだけでなくぎもんにもこたえられますよ⦆】

悠「じゃあ、今日の亘理の下着の色は?」

モノリス【⦅くろ⦆】

亘理『ふぁっ///』

千世子「実在のダルタニャンは小説のような派手な活躍はしなかったが、勤勉な態度と堅実な活躍で出世し、貧乏貴族という家柄を跳ねのけて、エリート部隊である銃士隊の隊長まで昇進。その忠誠心と主君からの信頼は物語に勝るとも劣らず、フランス国王ルイ14世には「最も信頼を寄せる男」と語らせているのだ。」

悠「当たりっぽいな」

亘理『がぶっ!』

摩耶「じゃあ悠君の今日の昼ご飯は?」

モノリス【⦅さんまごはんみそしるうめぼしほうれんそうのしらあえ⦆】

悠「正解だ」

摩耶「結構面白いね」

千世子「ダルタニャンの死は1673年6月25日、上官である公爵を狙撃からかばっての殉職という誇り高いものだったのだ。小説のダルタニャンは「もっとも有名なフランス人」とも呼ばれる英雄だが、実在のダルタニャンもそれに負けない英雄だったのだ。以上、ダルタニャンのじゅぎょーだったのだ。」
18/100ページ
スキ