ー奇談ー學校へ行こう10

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「昨日久々に竜槍スマウグマラソンしたんだよ。妖精たんに装備させようと思って」

摩耶「聖王の槍のが軽くてよくない?」

悠「攻撃力最強をとった」

神姫「それで何回やり直したの?」

悠「100回やり直したけど未だに落としてない……」

亘理『ええっ?!』
 
【ローラン】

千世子「はい、じゅぎょーしますのだ。高潔な騎士が敵を倒し、美しい姫君と恋に落ちる。フランスはこんな「騎士道物語」の発祥の地だといわれているのだ。ローランは11世紀ごろに書かれ、フランスの騎士道物語の元祖ともいえる「ローランの歌」の主人公なのだ。」

亘理『そんなにドロップしないの?』

悠「確率は3.2パーセント」

亘理『32』

摩耶「3.2」

神姫「さらにオーラム(お金)だけ落とすパターンもある」

悠「みんな大好き天国スマウグマラソンだ」

千世子「「ローランの歌」は8世紀ごろに実際に起きた、シャルルマーニュ王の統治するフランク王国と、スペインを支配していたイスラム教徒の戦いを、フランク王国側から描いた作品なのだ。ローランはこの作品の主人公であり、シャルルマーニュに仕える12の勇者「十二勇士」のリーダー的存在なのだ。ローランは勇敢な性格で剣の実力も確かだったが、非常にプライドが高いという弱点があったのだ。」

亘理『地獄でしょ?!』

摩耶「水鏡の盾とか伏魔の剣に比べたら天国だよ」

神姫「白ルーラーなら弱いし、確定でいるから目の前でセーブで済む。大分マシよね」

亘理『えぇ……』

悠「まぁ、ボストン先生にベルセルクとかブレスかけてカウンターしてもらえば最速2ターンでつぶせるしな」

摩耶「9999×2で1ターンに約二万という強いエビ」

千世子「伝説上の英雄には特別な武器がつきものなのだ。「ローランの歌」にも数々の名剣が登場するのだ。ローランの武器は「デュランダル」という切れ味の鋭い剣だったのだ。ローランは敵軍に包囲されたとき、剣が敵の手に渡るのを恐れ、剣を岩に叩き付けて折ろうとしたのだ。ところが岩めがけて振り下ろした剣は、硬い岩を真っ二つに切断してしまうのだ。デュランダルはそれほどにまで切れ味の良い剣だったのだ。」

雨「そこまでやる必要は?」

悠「ないけど、なんか欲しいものは殺してでも奪い取るがロマサガの伝統だし」

ラヴクラフト「殺してでも、奪い取る……か。」

摩耶「何かを学んだっぽいよ」

悠「学んだらいけないやつがな……」

千世子「ローランが貴重なデュランダルを破壊しようと考えたのは、デュランダルが名剣であることだけが理由ではないのだ。実はデュランダルには「聖遺物」という、キリスト教徒にとって神聖な物品が4つも収納されていたのだ。いうまでもなく、キリスト教の聖遺物を異教徒に渡すわけにはいかないのだ。」

摩耶「聖遺物持ちすぎ。」

神姫「装備品に魔王の鎧、魔王の盾、魔王の斧とか装備するタイプね」

悠「聖遺物と言ってるのに魔王シリーズとはこれいかに……」

亘理『純粋魔王?』

悠「おれは肌色多めの装備がすきかな」

千世子「ローランの最後はその高すぎるプライドによる自滅だったのだ。軍団の最後尾を任されていたローランはイスラム軍に奇襲を受けて孤立するのだ。ローランは援軍を呼ぶために角笛を持っていたが、「援軍を呼ぶのは恥だ」といってギリギリまで角笛を吹かず、玉砕してしまったのだ。デュランダルを折ろうとしたのはこの時なのだ。」

摩耶「悠君はすぐ脱ぎたがるよね。」

悠「へへっ」

神姫「……」

亘理『……』

雨「……」

悠「何かされるより、ただただ冷たい視線を投げかけられるだけの辛さ……」

千世子「騎士の誇りを描いた「ローランの歌」は11世紀に書かれた作品だったのだ。つまりこの物語からは、女性をやさしく扱い、命よりも誇りを重視するヨーロッパの「騎士道精神」が、11世紀にはすでに成立していたということが読み取れるのだ。以上、ローランのじゅぎょーだったのだ。」
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