ー奇談ー學校へ行こう10

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「この前うちに天狗が出たよ」

摩耶「天狗って鼻の長い?」

悠「いや、幼女とスタイリッシュ痴女だった」

神姫「脳が腐ってる?」

悠「まだまだ綺麗でツルツルのピンクです」

千世子「ツルツルの時点でダメだと思うのだ。」

悠「てへっ☆」

神姫「……」
スッ……パァン!
悠「平手?!」

【エドワード黒太子】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。「オルレアンの乙女」ジャンヌダルクの活躍で終結したことで知られる「百年戦争」は、イングランドとフランスの100年にわたる戦争なのだ。この戦争はジャンヌ登場までイギリスの一方的な優性で進んでいたのだ。そして連戦連勝を重ねたイングランド軍の指揮官は、黒い鎧に身を包んだ天才戦術家だったのだ。イングランドの王の長男、エドワードなのだ。彼は鎧の色と容赦ない戦いぶりから「黒太子(Blackprince)」と呼ばれたのだ。

悠「ほってぺいたい。」

亘理『これでもかってくらい赤いしっかりした手形……』

摩耶「反対側もいっとく?」

悠「いっときません!」

恋「自業自得じゃ」

千世子「黒太子は自ら作らせた黒い鎧を見につけ、兜の上にはダチョウの羽を飾っていたのだ。武術と戦術の達人であり、16歳という若さで父の率いるイングランド軍に従軍すると、すぐに騎士として認められ、小部隊の指揮を任されるのだ。」

義鷹「天狗か……」

悠「知り合いでも?」

義鷹「いや、昔は食ったことがあったと思ってな」

雨「食ったことあるのね…」

義鷹「大昔だ。」

千世子「黒太子は当時イングランドで編成されるようになった長弓部隊を巧みに運用し、フランス相手に連戦連勝を重ねていったのだ。本国での反乱鎮圧のため父王がイングランドに帰ると、黒太子はイングランド全軍の指揮官となり、フランスの王を捕えるという決定的な勝利を得たのだ。」

悠「一応聞くけど美味かった?」

義鷹「骨っぽかったな。あと、鶏肉と人肉っぽいのの間の味だ」

悠「聞くんじゃなかった…」

摩耶「鳥成分に人間性分もあるんだ」

義鷹「あくまでも人間っぽいだけどな。あと、天狗でも霊力のない天狗はダメだなやっぱりしっかりとした霊獣や神獣じゃないとな」

千世子「1376年、45歳になった黒太子の命を奪ったのは、戦争ではなく病気だったのだ。この病気は、当時ヨーロッパに蔓延していた致死性の伝染病「黒死病(ペスト)」だったという説もあるのだ。黒の王子が黒の病で散ったとすれば皮肉な話なのだ。」

悠「神ってついてるのを平然と食うのな」

摩耶「やっぱり獣肉がおいしいんだね」

義鷹「肉は肉で美味いが、臓物とかが特にな」

亘理『私しばらくお肉いいかも…』

恋「同じく…」

千世子「エドワード黒太子に短所があるとすれば、自由奔放な性格と残虐性の高さなのだ。黒太子は派手好きで、ギャンブルや酒を好み、友人や夫人に高価なプレゼントを贈る浪費家だったのだ。女性関係も奔放で、当時の王族としては珍しい恋愛結婚。しかも離婚歴のある人妻を奪い取っての結婚だというから型破りというほかないのだ。」

神姫「揺光とかメフィストを食べたらとてつもなくパワーアップできるの?」

義鷹「……いや、ああいうのは食うと食った後中から支配してきたりするからな。単純に食ってパワーアップできるとは言い難い」

悠「じゃあ、逆に義鷹が食われたら?」

義鷹「万が一の時は生玉に全妖力を送り込んで肉体を自爆させる。」

神姫「つまり妖力がある限り不死身なの?」

義鷹「正確に言うなら俺という本体を原子レベルにして避難して、そこから再生してる。」

悠「逆に言えば原子レベルで消し去れば死ぬんだ」

義鷹「まぁな。」

摩耶「でも、ほぼ不死身だね」

悠「揺光、メフィスト、義鷹は三大チートだな…」

千世子「エドワードの浪費癖は深刻な事態を招いたのだ。黒太子の浪費の穴埋め、および戦争費用を稼ぐため、フランスで獲得した領土に重税をかけたところ、大規模な反乱がおきたのだ。黒太子は反乱を鎮めるために大規模な虐殺を行い、騎士として築き上げた名声に大きな汚点を残してしまったのだ。以上、エドワード黒太子のじゅぎょーだったのだ。」
4/100ページ
スキ