ー奇談ー學校へ行こう9

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「ふぁーぁ。あー、枕としてはそこそこ優秀だわ。ホント」

恋「舐めとるだろお前」

亘理『悠ちゃん!私も!私も!』

悠「んっ、ほら。」
スッ
亘理『えへへ、あ、ほんといい膝枕……って違う!私が膝枕されたいんじゃなくて!』
恋「ひとの膝で暴れるでない!」

千世子「はいはい、楽しそうですけどじゅぎょーしますなのだ。」

悠「どんちき♪└(^ω^ )┐♫ ┌( ^ω^)┘どんちき♪」

神姫「弾針剄」
チュドン!
悠「ぬぎゃぁぁっ!」

摩耶「確かに楽しそうだった」

【リチャード獅子心王】

千世子「9世紀にイングランドが統一されてから現在まで、イングランドには70人余りの王が君臨したのだ。数多くの王の中で、今でもなお絶大な人気を誇るのが、12世紀後半にイングランドを統一したリチャード一世、通称「リチャード獅子心王」なのだ。」

悠「どんちきしただけで龍剄された」

神姫「動きにイラッとしたのよ」

悠「えー…」

摩耶「もう一回どうぞ」

悠「どんちき♪└(^ω^ )┐♫ ┌( ^ω^)┘どんちき♪」

千世子「リチャード王はわずか10年間しか王位につかず、そのうち6か月しかイングランドにいなかったのだが、変わりに一大事業を成し遂げたのだ。リチャードはキリスト教の聖地エルサレム奪還を目指す『第3回十字軍』の指揮官として、イスラム教徒を相手に目覚ましい活躍をした英雄王なのだ。また、優れた騎士道精神も称賛の的となったのだ。十字軍の敵として何年も戦ったイスラム側の英雄サラディンも、リチャードのことを「キリスト教一の騎士」と称えたというのだ。」

悠「どんちき♪└(^ω^ )┐♫ ┌( ^ω^)┘どんちき♪」

神姫「……」

摩耶「気分は?」

悠「つらい…」

亘理『や、やらなきゃいいのに…』

恋「阿呆じゃからな」

千世子「「獅子心王(Lionhearted)」は、そんなリチャードの生きざまに人々がつけた愛称であり、今では『勇気あるもの』という意味の言葉として辞書にも掲載されているのだ。」

悠「おれの心もLionheartだからやらずにはいられないんだ」

神姫「ライオンねぇ」

悠「可愛い猫でも可!」

神姫「可愛くはない」

悠「……」

神姫「可愛くはない」

悠「真顔で二度いわれた」

千世子「リチャードは、イングランド全土とフランスの一部を領有する「プランタジネット家」で、四兄弟の次男として生まれたのだ。リチャードの母エレアノールはもともとフランスに大きな領土を持つ公爵家の当主で、リチャードの父に嫁いだ後も大きな発言権を持っていたのだ。エレアノールは4人の息子の中で特にリチャードを愛し、自分にとって理想の騎士としてリチャードを教育したのだ。このためリチャードは、騎士道精神を重んじ、理想を追い求めるロマンチストに育ったのだ。」

摩耶「悠くんが可愛い説はだいぶ年上にしか感じられないからね」

悠「道玄のおっさんとか雲水のおっさんに可愛いっていわれるのは何か違うけどな」

亘理『え、ときどき悠ちゃん、すごくかわいいよ』

悠「どんなとき?」

亘理『寝顔』

神姫「それは静かだからマシに見えてるだけよ」

千世子「父親と王妃の鮒かが原因で、リチャードは14歳の時、兄弟らとともに父に反旗を翻すことになるのだ。この反乱は失敗するが、リチャードは自ら父王の前に出頭して許しを請うと、一転して、かつて味方であった反乱勢力の討伐に尽力を尽くすのだ。」

悠「辛辣だな」

恋「たが、確かに黙っとればマシじゃ」

悠「あー?おれのトークがないとダメだろ」

摩耶「トークがあるからダメというパターンもある」

神姫「口縫っとけば?」

悠「酷い拷問」

千世子「この豹変ぶりはリチャードの特徴であり、決断こそ早いが、決めたことをすぐにひっくり返す傾向にあったのだ。そうした欠点もあるリチャードが人々から愛された理由は、常に自分に厳しく、他人の過ちに関しては寛大であったことにあるのだ。リチャードは愚直なまでにひたむきな人間だったのだ。以上、リチャード獅子心王のじゅぎょーだったのだ。」
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