ー奇談ー學校へ行こう

ー教室(2/14/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

千世子「ハッピーバレンタインなのだ!」

摩耶「わぁ、ちょこちゃんがチョコくれるんだ」

花描「ありがと」

悠「……」

千世子「あんちん?」

摩耶「あ~…あのね、悠くんチョコダメなんだ。」

神姫「そうなの?」

悠「あぁ、昔からチョコだけは食えないんだ。」

千世子「そーなのかー。それはごめんなのだ」

神姫「謝ることは無いでしょ」

悠「そうだぞ。普通に気持ちはすごく嬉しいし」

花描「よしよし」

千世子「そうかぁ?えへへ。」

悠「ちなみに神姫は?」

神姫「その手首に巻いてあるバンダナいいわね。特に柄が」

悠「スルーかよ…。このバンダナな貰いもんだ。バレンタインの贈り物」

神姫「へぇ…ちょうだい」

悠「はい?」

神姫「冗談よ」

悠「わりとマジっぽかったけど」

神姫「あのね、人の贈り物を奪うような真似しないわよ。」

摩耶「そうだ。ちょこちゃん、なんの授業にするか決まった?」

千世子「そうだなー。幻獣、天使、悪魔、武器……」

花描「魔法とかどうだ?」

神姫「魔法?」

摩耶「魔法使いとか?」

千世子「じゃあ、それでいくのだ。」

悠「決定かよ」

千世子「それじゃバレンタインも関係なく、今日からは「魔法」と「魔法使い」のじゅぎょーをしていくのだ。さっそく…これなのだ」

【ウィザード】
世界中の「魔法使い」の総称

悠「はじまっちゃったよ。」

摩耶「いいんじゃない?僕ハリーポッターとか結構好きだし」

千世子「女でもウィザード。ドルイド、メイジ、ウィッチなど「魔法使い」を現す言葉はたくさん存在するのだ。その中でも「ウィザード」は「魔法使いをすべて一括りにして、とりあえずウィザードと呼んでおけば間違いない」というぐらい、普遍的な魔術師の代名詞であるのだ。」

神姫「男の魔法使いをウィザード、女の魔法使いをウィッチじゃないの?」

千世子「そう思い込んでる人も多いのだ。けど、現実には女のウィザードはありふれているし、ごく少数ながら男のウィッチも存在するのだ。どうしても性別によって「魔法使い」「魔女」を使い分ける場合は、「男の魔法使いをウォーロック、女の魔法使いをウィッチ」と呼び分ける方が普通なのだ。」

花描「だとしたらパチュリーはウィッチか」

千世子「ウィザード(wizard)と賢い(wise)はもともと語源が同じなのだ。つまり、本来は「ウィザード=賢人」という意味があったのだ。他人から本物のウィザードどとして認められるためには、単に魔法が使えるだけではダメで、知性と教養を備えている必要があったのだ。」

悠「あ、おれか。」

神姫「……」

悠「視線がいたい」

千世子「こうしたウィザードのルーツは、一説によると古代ケルトの魔術師であり社会的指導者でもあった「ドルイド」にあるとも言われているのだ。つまり「知識も教養もないが魔法は使える人」のことは「ウィザード」と呼びにくいのだ。例えば「魔法少女」のように「普通の学校に通っている子供」はどんなに強力な魔法が使えたとしても、やっぱりウィザードではなくウィッチなのだ。」

悠「最近だと魔法少女から魔女パターンもあるけどな」

千世子「大抵の創作のファンタジーやゲームの世界で、ウィザードが「杖を持って髭をはやした老人」の姿で描かれているのは「長年にわたって勉学や研究を重ね、それだけの知識的なバックグラウンドを持っている人」という説得力を持たせる意味もあるのだ。以上ウィザードだったのだ。」
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