ー奇談ー學校へ行こう9
ー教室ー
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。
悠「タオルが手放せない」
摩耶「そのタオル絞ったらどれぐらい搾れるかな」
悠「……多分、コップ一杯は余裕」
神姫「それもうタオルとして機能してないでしょ」
悠「ですよね。ちょっと洗ってくるわ」
千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ」
悠「……あの」
千世子「アーサー王は戦場での勇猛さと君主としての寛大さで、キリスト教国家の理想の国王像と言われた人物だが、アーサーだけでは「アーサー王伝説」は成り立たないのだ。伝説がここまで広まったのは、魅力的なわき役たちがいてこそなのだ。」
悠「問答無用だった」
摩耶「良くある良くある」
亘理『私のタオル使う?』
悠「使いかけ?」
亘理『いや、もちろん新品だよ』
悠「着かいかけでもいいのに。むしろ使いかけがいい!」
千世子「物語序盤のアーサーを支えるのは魔術師「マーリン」。アーサー王の出生や、アーサー王が国王になる過程に深くかかわり、その後もアーサー王の相談役として数々の助言を残したのだ。マーリンは物語中盤で退場し、それ以降のアーサー王の決断はそれまでより切れの悪いものになっていくのだ。」
亘理『……』
摩耶「引いてるよ?」
悠「あれ?」
神姫「普通にキモかったわよ?」
悠「あれれ?」
雨「死ねばいいのに」
悠「虫足の節という節にローション塗りこんでやろうか…」
千世子「物語を通じてアーサーの手足として活躍するのが、アーサー直属の部下「円卓の騎士」なのだ。外敵との戦いが終わると「アーサー王伝説」の物語は円卓の騎士中心に進んでいくのだ。ちなみに大仁不倫関係に合ったランスロット、アーサーに反乱を起こし隠し子モルドレッドも、アーサー王の円卓の騎士の一員なのだ。」
亘理『悠ちゃん、お願いだからもうちょっとまともでいて』
悠「マジトーンで言われた…」
摩耶「多分無理だよ?」
悠「うん」
亘理『自分で認めちゃったよ!』
千世子「「アーサー王伝説」には、特別な力を持つ魔法の武具が数多く登場するのだ。なかでも有名なひとつは、日本人でも名前くらいは聞いたことがあるだろう魔剣『エクスカリバー』なのだ。その名は「切り裂く鋼」を意味し、抜けばたいまつ30本分の輝きを放つという名剣なのだ。だがエクスカリバーの真価は、剣よりむしろ鞘の方にあるのだ。この鞘を持っているものは傷を受けても流血せず、重傷を負うこともないのだ。まさに持っているだけで不死身になれる鞘なのだ。」
悠「でも、まぁ、亘理の使ったタオルっていうだけでいい匂いしそうだし」
亘理『ふぁっ///?!』
摩耶「あー、なるほど、それは分かる」
雨「そこわかるの?」
摩耶「なんとなくだけどね。悠くんが使ったタオルは血なまぐさそうだけど」
千世子「そして意外なところでは、キリスト教の聖遺物であり、イエス・キリストの脇腹を突き刺したという槍『ロンギヌス』もアーサー王伝説に登場しているのだ。アーサー王伝説におけるロンギヌスは、白い色をしており、穂先から血をしたたらせていたというのだ。」
悠「いや、おれ別に流血はしてないよ?」
摩耶「ああ、ごめん。いつも垂れ流してる感じだったから」
悠「垂れ流すて……なぁ?」
神姫「私は泥臭そうなイメージがあるわ」
悠「えぇ…おかしいな。そこそこいい匂いさせてるはずなのに」
雨「自分でいうな」
千世子「名剣を持つのはアーサー王だけではないのだ。ランスロットやがウェインなど、名のある円卓の騎士たちもそれぞれの名剣を持っているのだ。騎士の誇りである剣と剣のぶつかり合いも、アーサー王伝説の見どころなのだ。」
亘理『わわ、わたしは悠ちゃんの……匂いすきぃ///』
悠「ほら、分かる人にはわかるんだよ」
摩耶「うん、多分、吉音ちゃんとかも同じこと言うよ」
神姫「残念なことにがりゅーもね……はぁ」
悠「そんなマジで残念そうな顔しないでほしい」
千世子「「アーサー王伝説」を知るうえで注意が必要なのは、「アーサー王伝説」は一つではなく、無数に存在するという事なのだ。「アーサー王伝説」とは、キャメロットの王アーサーが登場する物語の総称でしかないのだ。無数に存在する短いエピソードをイギリス人の作家がひとつの物語としてまとめた「アーサー王の死」という作品があるが、その原点となった物語は断片的で、話毎に人物の血縁関係や性格が全く違うし、同じキャラクターのはずなのに名前が違う場合すらあるのだ。「アーサー王伝説」について語るときは、いま「どの「アーサー王伝説」について話しているか」を意識する必要があるのだ。以上、アーサー王のじゅぎょーだったのだ。」
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。
悠「タオルが手放せない」
摩耶「そのタオル絞ったらどれぐらい搾れるかな」
悠「……多分、コップ一杯は余裕」
神姫「それもうタオルとして機能してないでしょ」
悠「ですよね。ちょっと洗ってくるわ」
千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ」
悠「……あの」
千世子「アーサー王は戦場での勇猛さと君主としての寛大さで、キリスト教国家の理想の国王像と言われた人物だが、アーサーだけでは「アーサー王伝説」は成り立たないのだ。伝説がここまで広まったのは、魅力的なわき役たちがいてこそなのだ。」
悠「問答無用だった」
摩耶「良くある良くある」
亘理『私のタオル使う?』
悠「使いかけ?」
亘理『いや、もちろん新品だよ』
悠「着かいかけでもいいのに。むしろ使いかけがいい!」
千世子「物語序盤のアーサーを支えるのは魔術師「マーリン」。アーサー王の出生や、アーサー王が国王になる過程に深くかかわり、その後もアーサー王の相談役として数々の助言を残したのだ。マーリンは物語中盤で退場し、それ以降のアーサー王の決断はそれまでより切れの悪いものになっていくのだ。」
亘理『……』
摩耶「引いてるよ?」
悠「あれ?」
神姫「普通にキモかったわよ?」
悠「あれれ?」
雨「死ねばいいのに」
悠「虫足の節という節にローション塗りこんでやろうか…」
千世子「物語を通じてアーサーの手足として活躍するのが、アーサー直属の部下「円卓の騎士」なのだ。外敵との戦いが終わると「アーサー王伝説」の物語は円卓の騎士中心に進んでいくのだ。ちなみに大仁不倫関係に合ったランスロット、アーサーに反乱を起こし隠し子モルドレッドも、アーサー王の円卓の騎士の一員なのだ。」
亘理『悠ちゃん、お願いだからもうちょっとまともでいて』
悠「マジトーンで言われた…」
摩耶「多分無理だよ?」
悠「うん」
亘理『自分で認めちゃったよ!』
千世子「「アーサー王伝説」には、特別な力を持つ魔法の武具が数多く登場するのだ。なかでも有名なひとつは、日本人でも名前くらいは聞いたことがあるだろう魔剣『エクスカリバー』なのだ。その名は「切り裂く鋼」を意味し、抜けばたいまつ30本分の輝きを放つという名剣なのだ。だがエクスカリバーの真価は、剣よりむしろ鞘の方にあるのだ。この鞘を持っているものは傷を受けても流血せず、重傷を負うこともないのだ。まさに持っているだけで不死身になれる鞘なのだ。」
悠「でも、まぁ、亘理の使ったタオルっていうだけでいい匂いしそうだし」
亘理『ふぁっ///?!』
摩耶「あー、なるほど、それは分かる」
雨「そこわかるの?」
摩耶「なんとなくだけどね。悠くんが使ったタオルは血なまぐさそうだけど」
千世子「そして意外なところでは、キリスト教の聖遺物であり、イエス・キリストの脇腹を突き刺したという槍『ロンギヌス』もアーサー王伝説に登場しているのだ。アーサー王伝説におけるロンギヌスは、白い色をしており、穂先から血をしたたらせていたというのだ。」
悠「いや、おれ別に流血はしてないよ?」
摩耶「ああ、ごめん。いつも垂れ流してる感じだったから」
悠「垂れ流すて……なぁ?」
神姫「私は泥臭そうなイメージがあるわ」
悠「えぇ…おかしいな。そこそこいい匂いさせてるはずなのに」
雨「自分でいうな」
千世子「名剣を持つのはアーサー王だけではないのだ。ランスロットやがウェインなど、名のある円卓の騎士たちもそれぞれの名剣を持っているのだ。騎士の誇りである剣と剣のぶつかり合いも、アーサー王伝説の見どころなのだ。」
亘理『わわ、わたしは悠ちゃんの……匂いすきぃ///』
悠「ほら、分かる人にはわかるんだよ」
摩耶「うん、多分、吉音ちゃんとかも同じこと言うよ」
神姫「残念なことにがりゅーもね……はぁ」
悠「そんなマジで残念そうな顔しないでほしい」
千世子「「アーサー王伝説」を知るうえで注意が必要なのは、「アーサー王伝説」は一つではなく、無数に存在するという事なのだ。「アーサー王伝説」とは、キャメロットの王アーサーが登場する物語の総称でしかないのだ。無数に存在する短いエピソードをイギリス人の作家がひとつの物語としてまとめた「アーサー王の死」という作品があるが、その原点となった物語は断片的で、話毎に人物の血縁関係や性格が全く違うし、同じキャラクターのはずなのに名前が違う場合すらあるのだ。「アーサー王伝説」について語るときは、いま「どの「アーサー王伝説」について話しているか」を意識する必要があるのだ。以上、アーサー王のじゅぎょーだったのだ。」