ー奇談ー學校へ行こう

ー教室(2/13/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「ふあぁ……眠っ…」

摩耶「寝不足?」

悠「ちょっと風呂場にガチムチの男が出現してな…」

花描「は?」

悠「いや、何でもない。ふあぁ……あとでラスタで寝よ…」

神姫「……」

千世子「みんな、集まってるなー。今日でついにドラゴンのじゅぎょーの最終項目なのだ。そして最後のドラゴンは…」

【九頭龍】
生息地域:日本
出典:日本の民間伝承

摩耶「九頭龍…」

花描「九頭龍か…」

悠「神姫か…」

神姫「……」

パン!パン!

悠「痛っ~頬を左右打たれた…」

千世子「古来より龍は、水を支配し管理する存在として信仰の対象だったのだ。頭が九つある龍「九頭龍」も、水の神として信仰された龍神なのだ。」

悠「なんでおれだけビンタ?」

神姫「他の二人は九頭龍。悠は神姫って…私をいったわよね?どう捉えてもバカにしてるわよね。」

千世子「神として九頭龍をまつるときは「九頭龍権現」と呼ぶこともあるのだ。一般的に九頭龍は、その土地を治める神、農業や水の神として親しまれているのだ。」

摩耶「ほっぺ見事に真っ赤だね。」

悠「めちゃヒリヒリしてる」

千世子「九頭龍の伝承は各地にあるが、もっとも有名なもののひとつが神奈川県の箱根に伝わる九頭龍なのだ。伝説によれば、箱根にある芦ノ湖という湖には九頭龍が住んでいて、周囲の人々を困らせていたのだ。そこである高名な僧侶が九頭龍を湖の底に封印し、九頭龍の怒りを沈めるため、神としてまつったのだ。」

悠「まつろうか?」

神姫「湖の底に沈めるわよ。」

悠「まて、おれは九頭龍じゃないから」

花描「コンクリで固めて東京湾?」

悠「や~め~れ~」

千世子「日本神話の最高神「天照大神」が洞窟のなかに閉じ籠ったという伝説で有名な、長野県北部の戸隠神社にも、九頭龍がまつられているのだ。戸隠神社の九頭龍は、各地の九頭龍のなかでもとくに霊験あらあかだといわれているのだ。」

悠「戸隠神社の祭壇て洞窟にあるんだぞ」

摩耶「そうなんだ」

花描「小ネタ挟むなぁ。」

千世子「戸隠神社では毎朝、九頭龍の住む洞窟に食べ物が供えられるのだが、次の日にはかならず前日供えたものがなくなっているのだ。ふつう日本の神へ捧げ物をした場合、神はその食べ物のエネルギーだけを受けとると考えられており、食べ物の物体はその場に残されるのだ。ところが戸隠の九頭龍は、エネルギーだけでなく物体として供え物まで食べるのだから、そのぶん大きな御利益があるに違いないという解釈なのだ。」

花描「まぁ、どうせならちゃんと摂取したいわな」

悠「おれは摂酒がいいな」

千世子「また、戸隠神社の九頭龍には「虫歯」を治すという、少々かわったご利益があるのだ。この九頭龍は果物の梨が好物であり、虫歯の人が梨を食べずにお参りすれば、虫歯が治るというのだ。……以上、これでドラゴンのじゅぎょーはすべて終了なのた!」

「「「お疲れさまでした!」」」

千世子「次回からは……なんのじゅぎょーをはじめようかなのだ」

摩耶「妖怪」

花描「武器」

悠「保健体育」

神姫「……」

悠「痛い痛いアイアンクローやめて」
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