ー奇談ー學校へ行こう9

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

恋大根【……】
トタタ…

悠「あっちぃ……」

摩耶「あっちいねぇー」

亘理『ホントもう。きついぃ』
パタパタ

神姫「暑い暑いいってたら余計厚くなるわよ」

悠「すべてを溶かす熱量!!」

神姫「……」
ドゴッ!
悠「うぐっ!」

【ジュゼッペ・ガリバルディ】

千世子「はーい、じゅぎょーしますなのだ。西暦568に東ローマ帝国が敗退して以来、イタリア半島では中小国家が乱立する時代が1000年以上も続いたのだ。イタリア半島が再統一されたのは、なんと1870年。分裂から1300年後なのだ。日本でいえば聖徳太子の登場から江戸時代末期までに当たるのだ。チェーザレボルチアも成し遂げられなかったイタリア再統一の原動力となっったのが、イタリア統一の国民的英雄「ジュゼッペ・ガリバルディ」なのだ。」

恋大根【……】
トタタ…

恋「……なぜさっきからこれは恋の周りを走り回っとるのじゃ」

摩耶「んー……同族喜び?」

恋「恋は大根ではない!!」

恋大根【……】
トタタ…

千世子「ガリバルディはフランスに近い港町ニースに、船乗りの息子として生まれたのだ。船乗りらしく兄貴肌のさっぱりとした性格で、荒っぽい男たちとも仲良くなることができたのだ。この性格がのちにガリバルディを大いに助けることになるのだ。」

亘理『悠ちゃん大丈夫……じゃないよね?』

悠「めっちゃ……痛い」

神姫「普通にこぶし握っちゃったわ」

摩耶「たまにはただただ単純に殴るっていうのもありだよね」

悠「容易に腹筋を貫かれた…」

千世子「ガリバルディはイタリア統一を願う秘密結社の存在を知ると、たちまち感化されて革命活動へとのめりこんでいくのだ。蜂起の失敗、官憲の手から逃げるために南米亡命とゲリラ活動など波乱万丈の青年時代を過ごしたガリバルディは、39歳の時にイタリアへと帰還。南米で学んだ戦闘指揮のノウハウを生かし、イタリアに攻めてきたフランス軍からイタリアを守るための戦いに乗り出したのだ。」

恋大根【……】
トタタ…

義鷹「なんだこりゃ?まずそうなのが走ってるな」

悠「食うなよ。恋大根」

義鷹「恋大根……?ってか、食わねーよ。まずそうだし」

恋「なぜか複雑な気持ちになる…」

千世子「ガリバルディが指揮する義勇兵は、金銭的な理由で共通の軍服がなかったため、全員が赤いシャツを着て見方を識別したのだ。この舞台は「赤シャツたい」と呼ばれ、ガリバルディのシンボルマークになっていくのだ。赤シャツ隊には荒くれ者が多かったが、兵士はガリバルディの人柄にほれ込み、正規軍顔負けの強さを見せたのだ。」

悠「でも、座敷童ってほんらいこんな感じなんだろうな」

恋大根【……】
トタタ…

恋「なんでじゃい!こんな座敷童がおるか!」

摩耶「走り回ってるっていう部分ならあってるかもね。」

神姫「子供のような姿っていうのもちょっと我慢したら見えなくもないわよ」

恋「大分じゃろ!!」

千世子「フランスとの一進一退の攻防、アメリカへの亡命など何度も挫折を味わいながら、ガリバルディはあきらめずに戦い続けたのだ。そして1860年、1000人の義勇兵だけでイタリア南部「両シチリア王国」を制圧。その領土を母国であるサルディーニャ公国に差し出すことでイタリアをほぼ統一、「イタリア王国」誕生の父となったのだ。」

亘理『むしろ都市伝説系じゃない?』

悠「畑とかで走らせて動画にとったら売れるかもな」

摩耶「怪奇走る大根!」

神姫「ギャグ枠ね」

悠「恋、大根だしな」
なでなで
恋「恋をなでながらしみじみいうでない!!」

「ガリバルディはその後も義勇兵の指揮官として戦い、新国王が提示した政治的な役職にはつかなかったのだ。ガリバルディは最後まで権力欲と無縁だったのだ。以上、ガリバルディのじゅぎょーだったのだ。」
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