ー奇談ー學校へ行こう9

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

恋大根【……】
トタタ

悠「おっぱい揺れって至宝だよな」

摩耶「らしいよ」

亘理『な、縄とびしよっかなー』

神姫「やめなさい」

千世子「あんちんは色々とダメなのだ。色々とダメなのだ。」

悠「ストレートにダメと二回言われました」

【チェーザレ・ボルジア】

千世子「イタリア史、そしてキリスト教史、謀略と暗殺により悪名をとどろかせた一族があったのだ。キリスト教最高指導者「法王」をふたり、法王に次ぐ権力を持ち、次期鳳凰の候補者でもある「枢機卿(すうきけい)」を複数輩出したボルジア家なのだ。」

恋大根【……】
トタタ…

神姫「悠はダメなのよ」

悠「だ、駄目じゃないもん!」

雨「もんって気持ち悪」

悠「蜘蛛にいわれたくない」

雨「あ?」

千世子「ちぇーざれは、のちに法王となる有力な枢機卿の息子としてボルジア家に生まれるのだ。普段は黒髪の寡黙な美男子という印象だが、明るく笑いを絶やさぬ人柄だったと伝えられているのだ。趣味は狩猟で、武芸も嗜んでいたのだ。」

恋大根【……】
トタタ…

揺光【妾は駄目なところか可愛いと思うがのう】

摩耶「まぁ、悠君の駄目は色んなパターンがあるしね」

悠「そんな人をダメダメ人間みたいに。後楽より真人間だぞ?」

恋「アレと比べたらよっぽどでない限り全員真人間じゃろ」

千世子「ちぇーざれはキリスト教の総本山、ローマ法王庁に使えていたが、聖職者というよりは武将と呼ぶ方がふさわしいのだ。チェーザレはローマ法王庁直属の軍隊「教会軍」の最高指揮者として、法王庁とイタリアを守るためにたたかったのだ。」

恋大根【……】
トタタ…

悠「っか、恋大根元気だな」

摩耶「ルンバより走ってるね」

揺光【この校舎の妖気と波長が合ったのじゃろうな】

恋「恋大根というのマジでやめい」

千世子「チェーザレが活躍した15世紀イタリアは、無数の地方領主が乱立する混乱した状況だったのだ。チェーザレは教会軍を指揮し、法王庁の奪われた領土を回復していくのだ。教会軍はお世辞にも強い軍隊ではなかったが、チェーザレは陰謀や策略で敵の内部に疑心暗鬼を振りまき、小国を倒していったのだ。またボルジア家は毒の扱いに長けた一族であり、チェーザレも積極的に毒を利用したというのだ。」

恋大根【……】
トタタ…

神姫「今更、もう変更は無理でしょ」

亘理『ただ、夜中もお構いなしで走ってるからたまに起きちゃうんだよね……』

揺光【まぁ、意識とか疲れはないからのう】

悠「むしろ、この校舎自体がラップ音とかしまくらね?」

千世子「謀略や暗殺を繰り返したチェーザレは、我々の基準から見れば「英雄」とはかなり遠い人物に見えるのだ。なぜチェーザレが英雄なのかといえば、それはある著名人がチェーザレのことを名指しで、真の英雄と褒めているからなのだ。その人物は、イタリアの思想家『マキャベリ』。国王がどのように国を統治すべきかをまとめた「君主論」で知られ、「マキャベリズム」という言葉の語源になった人物なのだ。」

亘理『そういうのはあんまり。家鳴達ってあんがい起きてるときとか鹿沢がないから』

摩耶「気づいて、ほしい系なんだね。」

悠「成程な。よいしょ」

恋大根【……】
バタバタ…

悠「こうやって寝るときはどっかに吊るしといたらどうだ?」

亘理『なんか可哀想』

神姫「箱か何かに入れといたらいいんじゃない?」

摩耶「ゲージに入れといたら。ゲージの中で走ってそうだしね。」

千世子「マキャベリズムとは、現在では「目的のためには手段を選ばない」という意味でつかわれるが、これは大きな誤解なのだ。マキャベリが手段を選ぶなと言っているのはあくまで『国家が危機になったとき』だけなのだ。そしてマキャベリは「君主論」の中で、外国の圧力、内政の混乱などから、あらゆる手段で母国を守ったチェーザレを「真の英雄」と呼んだのだ。以上、チェーザレボルジアのじゅぎょーだったのだ。」
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