ー奇談ー學校へ行こう
ー教室(2/12/夜)ー
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。
悠「どうだこの前は楽しかったか?」
千世子「まあまぁなのだ。アホ海がいたから微妙だったのだ。」
摩耶「チョコちゃんは海ちゃんと仲悪いんだね。」
千世子「千世子は悪くないのだ!最初に絡んできたのは低能アホ海なのだ。」
花描「低能って…わりかし口悪いよな」
悠「だな。ま、口が悪いだけならいいんじゃね。投げたり、ビンタしたり、龍剄ぶつけたりしないから」
神姫「……」
悠「怖いから睨まんといて…」
千世子「さて、じゃあ今日のじゅぎょーはこれなのだ。」
【ルナナの龍】
生息地域:ルナナ地方(ブータン)
出店:ブータンの民間伝承
摩耶「ブータンって…インドだったけ?」
悠「インドの北東、ヒマラヤ山脈の一部を領土とする小国だ」
千世子「この国には、不思議な宝石をもっていた温厚な龍の話が伝わっている。この龍は夏のあいだだけブータン地方のルナナ地方にあらわれ、ときおり地の底からうなり声をあげたり、口から火や煙を吹き出していたというのだ。」
花描「温厚なわりに狂暴そうだな。」
千世子「物語によれば龍の性格はおとなしく、人や家畜を襲うことはなかったのだ」
花描「人畜無害だ…」
摩耶「じゃあご飯は?」
千世子「この龍は数回なめるだけで満腹感を得られる魔法の宝石を持っていて、そのためにお腹が空くことはなかったのだ。だから、近くの村人たちも、龍が暴れない限りはそっとしておこうときめていたのだ。」
悠「触らぬ神(姫)に祟りなし。」
神姫「なにかしら、少し腹が立つ感覚は…」
千世子「しかしルナナの村に、この龍に目をつけた猟師がやって来たのだ。しかし猟師は探索の途中で崖から落ち、武器の弓矢を無くしてしまったのだ。そして猟師が落ちたさきには、幸か不幸か、ルナナの龍がうずくまっていたのだ」
神姫「食われたらいいのに」
悠「サラッというな」
千世子「武器を失っていた猟師は死を覚悟したが、龍は猟師に危害を加えようとしなかったのだ。しかし崖は深く、人間が脱出することは不可能。やむなく猟師も龍にならって、宝玉をなめることで飢えをしのいで生き延びたのだ。」
神姫「ちっ」
悠「舌打ちて…なんかあったのか…」
千世子「崖から落ちて数日、猟師は宝玉の魔力によって崖の底から脱出できるのではと考え、龍の手から宝石を奪った。すると、爆発とともに龍は天に昇っていったのだ。猟師は天に昇る龍につかまって地上に戻ることができたが、龍から奪った宝石には、もう不思議な力は残っていなかったというのだ。」
悠「剥ぎ取りが下手なんだな。」
摩耶「剥ぎ取り名人スキルがいるね」
花描「違うだろ。」
千世子「ルナナの龍が伝わるブータンは、龍との関わりが深い国なのだ。ブータン国の正式名称は「ドゥルック・ユル(雷龍の住む国)」といい、国旗にも雷龍が描かれているのだ。ブータンが雷龍の国と呼ばれる理由は、建国の伝説にあるのだ。その昔、仏教国チベットの僧侶が、僧院を建てるためにこの地域にやって来た。すると空が晴れているのにもかかわらず、すさまじい雷音が轟いたのだ。僧侶はこれは雷龍の雄叫びで天からの祝福だと考え、ここに僧院を建てることを決断したのだ。僧院は「ナム・ドゥルック(天に舞う龍)」と名付けられ、これが国名の由来になったのだ。以上、ルナナの龍だったのだ。」
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。
悠「どうだこの前は楽しかったか?」
千世子「まあまぁなのだ。アホ海がいたから微妙だったのだ。」
摩耶「チョコちゃんは海ちゃんと仲悪いんだね。」
千世子「千世子は悪くないのだ!最初に絡んできたのは低能アホ海なのだ。」
花描「低能って…わりかし口悪いよな」
悠「だな。ま、口が悪いだけならいいんじゃね。投げたり、ビンタしたり、龍剄ぶつけたりしないから」
神姫「……」
悠「怖いから睨まんといて…」
千世子「さて、じゃあ今日のじゅぎょーはこれなのだ。」
【ルナナの龍】
生息地域:ルナナ地方(ブータン)
出店:ブータンの民間伝承
摩耶「ブータンって…インドだったけ?」
悠「インドの北東、ヒマラヤ山脈の一部を領土とする小国だ」
千世子「この国には、不思議な宝石をもっていた温厚な龍の話が伝わっている。この龍は夏のあいだだけブータン地方のルナナ地方にあらわれ、ときおり地の底からうなり声をあげたり、口から火や煙を吹き出していたというのだ。」
花描「温厚なわりに狂暴そうだな。」
千世子「物語によれば龍の性格はおとなしく、人や家畜を襲うことはなかったのだ」
花描「人畜無害だ…」
摩耶「じゃあご飯は?」
千世子「この龍は数回なめるだけで満腹感を得られる魔法の宝石を持っていて、そのためにお腹が空くことはなかったのだ。だから、近くの村人たちも、龍が暴れない限りはそっとしておこうときめていたのだ。」
悠「触らぬ神(姫)に祟りなし。」
神姫「なにかしら、少し腹が立つ感覚は…」
千世子「しかしルナナの村に、この龍に目をつけた猟師がやって来たのだ。しかし猟師は探索の途中で崖から落ち、武器の弓矢を無くしてしまったのだ。そして猟師が落ちたさきには、幸か不幸か、ルナナの龍がうずくまっていたのだ」
神姫「食われたらいいのに」
悠「サラッというな」
千世子「武器を失っていた猟師は死を覚悟したが、龍は猟師に危害を加えようとしなかったのだ。しかし崖は深く、人間が脱出することは不可能。やむなく猟師も龍にならって、宝玉をなめることで飢えをしのいで生き延びたのだ。」
神姫「ちっ」
悠「舌打ちて…なんかあったのか…」
千世子「崖から落ちて数日、猟師は宝玉の魔力によって崖の底から脱出できるのではと考え、龍の手から宝石を奪った。すると、爆発とともに龍は天に昇っていったのだ。猟師は天に昇る龍につかまって地上に戻ることができたが、龍から奪った宝石には、もう不思議な力は残っていなかったというのだ。」
悠「剥ぎ取りが下手なんだな。」
摩耶「剥ぎ取り名人スキルがいるね」
花描「違うだろ。」
千世子「ルナナの龍が伝わるブータンは、龍との関わりが深い国なのだ。ブータン国の正式名称は「ドゥルック・ユル(雷龍の住む国)」といい、国旗にも雷龍が描かれているのだ。ブータンが雷龍の国と呼ばれる理由は、建国の伝説にあるのだ。その昔、仏教国チベットの僧侶が、僧院を建てるためにこの地域にやって来た。すると空が晴れているのにもかかわらず、すさまじい雷音が轟いたのだ。僧侶はこれは雷龍の雄叫びで天からの祝福だと考え、ここに僧院を建てることを決断したのだ。僧院は「ナム・ドゥルック(天に舞う龍)」と名付けられ、これが国名の由来になったのだ。以上、ルナナの龍だったのだ。」