ー奇談ー學校へ行こう9

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「十一月に発売されそうな忠臣蔵46+1っていうエロゲが面白そう」

摩耶「そうなんだ。悠くん好きだよね。戦国とか三国とかあっぱれとか新撰組とか」

悠「ラッキースケベぐらい好きだ」

神姫「ラッキースケベは悠のこと嫌ってるけどね」

悠「マジかよあの野郎…」

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。今回から新しく始めるのはすばり英雄なのだ!」

悠「おれか!」

摩耶「悠くんはHとEROだけどね」

神姫「前から思ってたけど摩耶は優秀よね。」

亘理『うん、普通に上手』

【レオニダス】

千世子「厳しい指導で相手を鍛える育成法を「スパルタ式教育」というのだ。このスパルタ教育とは、かつてギリシャに存在した都市国家「スパルタ」の兵士育成法から生まれた言葉なのだ。訓練についていけない子供を殺すなど厳しい環境で育成されたスパルタ市民は、ギリシャでも最強の兵士となったのだ。そのスパルタ軍団を率いて歴史に残る大立ち回りやってのけた英雄が、スパルタの王、レオニダスなのだ。」

悠「スパルタ怖い」

神姫「悠はスパルタがいいでしょ」

悠「いや、優しく慎ましやかがいいかな」

亘理『私?』

悠「なかなか強かだろ」

摩耶「スパルタの内容にもよるよね。」

千世子「レオニダスは伝説の英雄ヘラクレスに連なるという二つの王家のうち、アギス家の三男として生まれたのだ。三男ということで王位継承権は低かったが、二人の兄が死んだことによって王位を継ぐことになったのだ。」

悠「褒めて伸ばしてほしいね。」

神姫「悠は褒めたら調子に乗るでしょ」

悠「……」

亘理『見事に打ち返されるね』

悠「でも、あれはツンデレのツンだと思う」

千世子「レオニダスの人物像については、スパルタなどギリシャ各国の歴史を書いた本「歴史」にもあまり記されていないのだ。これはもともとレオニダスが注目されていない人物であり、王としての業績がひとつの戦いに集約されるからかもしれないのだ。レオニダスはたったひとつの戦いによって、ギリシャの英雄になるのだ。」

神姫「デレはないわよ」
メシシッ
悠「あぶぶぶっ」

摩耶「スパルタも捉え方ではSM?」

神姫「かも知れないわね。私は違うけど」
ぐりぐり
悠「ペンでぐりぐりしないでぇ~」

千世子「レオニダスが英雄となった戦いは、紀元前480年の「テルモピュライの戦い」なのだ。敵はギリシャ南東にある「ペルシア」のクセルクセス1世、前軍は6万とも210万ともいわれているのだ。レオニダス率いるスパルタ軍は、この大群にわずかな数の兵士で挑戦し、3日間持ちこたえたあと玉砕したと「歴史」には書かれているのだ。」

亘理『悠ちゃんはどうして余計なこと言うんだろうね。』

雨「アホだからでしょ」

後楽「男っていう生き物はわかっていても馬鹿をしなくちゃいけないときがあるんだよ」

悠「どっから現れたか知らねーけど。テメーは生き方そのものが馬鹿だからな」

後楽「じゃあ、馬鹿を治すために金貸して」

悠「やかましい!」

千世子「この玉砕戦が行われた理由は、ペルシャに立ち向かったギリシャ連合軍の立場に違いがあるといわれるのだ。ギリシャ連合軍は兵数1万以下、ペルシア軍隊を最も少ない人数で計算しても、ペルシア軍の20パーセントにも満たない人数なのだ。レオニダスの指揮のもとギリシア軍は3日間善戦していたが、ペルシア軍が背後に回る動きを見せると連合軍の多くは撤退を主張したのだ。だがレオニダスは従わなかったのだ。」

摩耶「そもそもお金で馬鹿が治るなら悠くんはだいぶ前に治ってるよね」

悠「いや、おれも万年金欠だし」

神姫「馬鹿は認めてるのね」

悠「しまった!恐るべし誘導尋問!」

亘理『違くない?!』

千世子「レオニダスは他国の軍を撤退させ、自国の精鋭300人と歩兵1000人、そして残留を希望した国の1000余りの兵士を連れて狭い山道に陣取り、地の利を生かして戦ったのだ。決死の戦いは全滅玉砕という結果に終わったが、その猛勇果敢な戦いはスパルタ、そしてギリシャの誇りとなったのだ。以上、レオニダスのじゅぎょーだったのだ。」
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