ー奇談ー學校へ行こう9

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「暑かったり寒かったり忙しい気温なのだ…」

悠「ホントになぁ」

摩耶「悠くんの場合エロい事考えてたら平気なんじゃない?」

悠「いやぁ、それは即死耐性だからな。ホットドリンク的効果は無いんだよ。まぁ、調子良かったら身体の一部がホットになるかもしれないが」

神姫「ああいうのが最終的に捕まるのよ」

千世子「あんちん……」

悠「捕まらないよ?!」

【クルツマン&ダミアン】

千世子「キリスト教の中でも大きな宗派であるカトリックや正教(オーソドックス)には、聖人という概念があるのだ。これは信者の中でもとくに信仰の厚い人や、振興のために死んだ殉教者などを、聖人と呼んで崇拝するものなのだ。とくにクルツマンとダミアンは、カトリックと正教の両方で認められている、兄弟の聖人なのだ。この呼び方は東欧独自のもので、西ヨーロッパでは「コスマスとダミアノス」と呼ばれることが多いのだ。」

悠「捕まらないよ?」

神姫「私が通報しましょうか?」

悠「なんで?!」

摩耶「どの件?」

悠「心当たり……ないから!」

亘理『微妙に間があった』

千世子「クルツマンとダミアンは医師であり、キリスト教では医療を担当する守護聖人なのだ。同時に東ヨーロッパでは吸血鬼とも関連付けられたのだ。その詳細は不明だが、二人への信仰は「吸血鬼や屍鬼(いわゆる動く死体)に対して絶大な力がある」と考えられていたのだ。また、東欧のスラブ人の伝承では、ふたりは医師ではなく魔術師で、吸血鬼に襲われた人を助けることに熟達していたと伝えるのだ。」

雨「むしろ犯罪歴のが多いでしょ」

悠「うるせー!蜘蛛足と蜘蛛足掴んで左右に開くぞ!」

雨「なんかむかつく!」

亘理『な、なんかえっちぃ…///』

神姫「思春期か」

千世子「カトリックに伝わる伝説によると、彼らはアラビア半島出身で、ともに優れた外科医だったのだ。キリスト教徒であることを誇りにしており、患者からお金を受け取る事が無かったというのだ。このため二人は、周囲から「聖なる文無し」と呼ばれていたのだ。また「手足を切断した患者に、別の人種の足を繋げる」という、現代の移植手術の走りとなる奇跡的な治療を行ったというのだ。」

悠「蜘蛛足の間もやっぱり股だから感じたりするの?」

雨「本気で殺すわよ…。」

摩耶「何だかんだで暑くなってきてるから悠君の下ネタにブレーキが掛かりにくくなってきてるね。」

神姫「そういうもんなの?」
ズドッ!
悠「め゛っ!?」

摩耶「うん。そういうもの。」

千世子「キリスト教では回復の見込みのない患者が回復すると、クルツマンとダミアンが治療したと考えたのだ。ふたりは寝ている病人のもとを夜中に訪れ、病人が目覚める前に治療するというのだ。」

亘理『今、一瞬にして悠ちゃんの目に何かが突き立ってた』

悠「指だよ!普通の目つきだよ!」

摩耶「入れられちゃったの?」

悠「くちゅくちゅって……」

神姫「……」
スッ……グッ……

悠「チョキの形から拳に移行するのやめて…」

千世子「吸血鬼の多くは、十字架や聖水など、キリスト教にちなんだ神聖なアイテムを嫌うのだ。なぜならキリスト教では、吸血鬼は「悪魔の創造物」だと考えているからなのだ。悪魔は神の力(信仰)に弱いというのがキリスト教の教えであり、悪魔の創造物である吸血鬼も、悪魔と同じものを嫌うというわけなのだ。民衆が吸血鬼を恐れれば恐れるほど、教会にとって吸血鬼の利用価値は高まるのだ。吸血鬼を退治できるのは、教会や聖職者だけと宣伝し、神の信仰を広めるために利用できるからなのだ。」

悠「っか、摩耶だっていってんじゃん」

摩耶「何を?」

悠「あーん、もう小悪魔めっ!」

雨「キモイ」

悠「蜘蛛にキモイって言われた」

雨「蜘蛛はキモくない」

悠「まぁ、おれは嫌いじゃないな」

雨「チッ」

悠「なんで舌打ちやねん」

千世子「18世紀以降、キリスト教の聖職者が吸血鬼退治を行うことはほとんどなくなったのだ。だが「吸血鬼が神聖なアイテムに弱い」という言い伝えはそのまま残り、現代の創作作品にもうけつがれているのだ。以上、クルツマン&ダミアンのじゅぎょーだったのだ。」
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